セリッシュの目的設定



「人工言語の作り方を読んだけど、いざ自分で作るとなったらどんな流れになるのか分からない……」
そういう方のために、人工言語をひとつ作ってみました。確かに、実演を交えたほうが分かりやすいかもしれませんね。
上掲の「作り方」より実践的なので、言語学用語の出番は増えます。


一番初めにすることは何か。「言語の目的」を決めることです。
この言語は作成者に「人工言語はこんな感じで作ります」という流れを紹介することが目的です。
これで目的は決まりました。儀式っぽいけど、指針を掲げるのは大事なことです。


目的ができたら今度はその目的に合わせて言語のおおまかな性質を決めます。
今回は実演なので、とにかく簡単に作れて、しかも読み手が最小限の労力で学べる言語であることが望ましい。
そこで、先験語ではなく後験語を作ることにしました。後験語をネットで作るのは初めてです。
だけどエスペラントや英語など、既にあるものと同じでは実演の意味がない。少し味付けも加えたいところです。

後験語なので、ベースとなる言語を決めましょう。
いまはグローバル時代なので、西洋語偏重ではなく、アジアや中東諸語を取り入れるというのも手でしょう。
でもたくさんから取り入れると幅広い知識が作り手と読み手の双方に必要になるので、今回の目的には沿いません。

エスペラントは広く西洋語を取り入れていますが、今回はもっと狭くいきましょう。
事実上世界の共通語になっている英語をベースにします。
ただ、英語だけを参考にするとベーシックイングリッシュとの弁別が困難になるので、若干他の諸語の性質も参考にします。
因みに、ベーシックイングリッシュとはチャールズ=オグデンによる簡略化した英語のことです。

まず、英語に近いゲルマン語を参考にする。たとえばドイツ語など。
次に、印欧語の仲間であるロマンス語。たとえばフランス語など。

ただ、これではエスペラント色が強くなってしまいます。
そこで、今まで私が「こういう言語にしたいんだけど、古アルカを踏襲しないとなぁ……」と諦めていた要素を取り入れます。
この隠し味のおかげで簡易英語やエスペラント2号になるのは避けられそうです……辛くも。


さて、そろそろ名前を決めましょう。
最初の命名、最初の単語はこの言語の名前になりました。

Englishは「アングル人の(言葉)」という意味です。-ishは性質や属性を表します。
今回はとりあえず、私が作った英語ベースの言語なので、serixでいいでしょう。読みはセリッシュ。
一応形態論的に解説しておくと、serenと接尾辞-ishの混成です。
はい、このナルっぽさ、突っ込みどころですね(>_<)

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