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文献閲覧: selneeme (ソノヒノキ)

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タイトル (アルカ)selneeme
タイトル (日本語)ソノヒノキ
カテゴリソノヒノキ
筆者seren arbazard
ソースhttp://conlang.echo.jp/arka/works_sev_3.html
コメント幻文と和文で空行の位置などが違ったため、幻文に合わせて和文を少し編集しました (titlil gas)

本文

 fir em soret, soret em har, har em ver, son vel faxik fia. fis or took skolel. tu sel et nie xalt fia tet lu almana. ya, et tinka xalt lu lanko da. 白は青へ、青は赤へ、赤は黒へ変わり、そして闇が世界を覆った。1日はいつもと同じように終わろうとしていた。しかし世界にとって何でもないその日は、この少年にとっては非常に重要なものだった。

 an na pels ka janl kont ins cuuf. dina, an til naver.

 テラスにて、日没を見ながら私は悩んでいた。いや、憂えていた。
 fils main nozet kon kolo miskel. see an na nos xtames atu yun lent. yan ins ant ixirius far har yun vortmain. haan tuube et eel ant im tur xa. zal a, tuube en yun an. 心の中でここにいる私の体を眺めてみた。人形のように立っている自分が見て感じられた。この目は死人の目のように赤い光を映していた。そうか、これが今の私の顔か。不気味だな、私ではないかのようだ。
 i janl, latik al ez. skinik a skil, in papx. テラスを離れ、私は部屋に入った。椅子に座り、カレンダーを見る。

"aa..."

「ああ…」
 xi kuo, an xtam i skil. yan halsank a mokt. そう呟くと私は椅子から立ち上がってベッドで仰向けに寝転んだ。
"ges aa, sol na ant et"「ああ、腐ってるねぇ、私の心は」
 siaj til mep l'an siina. tal an na vem a lotil del tu em met a po ant, kil tu. teo, an en na vem a lotil del po kil yu tal a lotil del popals kil yu, man an in ris pxan t'eri. 天井には鏡が付いている。私はこれが好きだ。だが、もしこれが落ちてきて首を切られたらと考えると…怖い。いや、首が切られるのが怖いというより、頚動脈が切れるのが怖いのだ。鮮血が飛び散る様を見るのは嫌だ

"an lfis xanel sei..."

「私は生きてるのかねぇ…」
 kuok me a nos ka tu ez le yuu tix an xa. 自分に再度呟いた。私以外は誰も居ないこの部屋で。
 deyuk ins. far har l'an na or far ver. an na vem mil vel tal na kit nal tan. 目を閉じた。私が感じている赤い光は黒い光へと変わっていく。闇のせいで怖くなった。が、同時に安心も感じ始めていた

 xi far har leev, an homik ins. im tu foni, an insik eel laat kaen mep.

 赤い光が消えると私は目を開けた。すると、鏡の向こうに一瞬彼女の顔が見えた。
"hqr?"あれ?
 tu eks yul leemi eel lant xa lank ant kok? son an inik lank nozet, tal hao, la mi atu. yan ist la, rib tis xa. ということはあの美しい顔が私の隣にいるのではないか?しかし隣を見るが、いるはずもなく、ただ蚊が居ただけだった。
"soono"
 son rib elf kit an.
an set lax em tuube. tal tu elfik an.
「やあ」と声をかけると蚊は逃げ出した。途端に殺意が沸いた。が、逃げられてしまった。
"beo!"「クソッ!」
 an skinik me a skil, fils papx. 私はもう一度椅子に座ると、カレンダーに目をやった。
"fis dec..."「今日だ…」
 tuumi sel lunak me an. an na nau ento milm van. またこの日がやってきた。とても嬉しくて踊りたくなるほどだ。
 tank ant til vix. to sil sod ol kil me tu sei. an na hao yai a. xiel an ena sil. kaat, ala es an sot gaato sei. an til tu knoos le diland an set nos. 拳を見ると、手首に傷があった。また切ったらどうなるんだろうな。痛いだろうね。泣くかもしれないなぁ。そもそも、何でこんなことしたんだろうなぁ。この自問によって私は今まで生き続けてきたのだ。

 an de his. tal an et axk a yuu. an rakl sen dipit ati tar. son an em vil fana a fi tisee. alfi, an et leit ok envi fin tu et vild na.

 劣等でもないのに何も上手くできない。何でもある程度はできてしまうので、情熱を注ぐということができないのだ。力ある無能力者だな、私は。そしてそれは矛盾的だ…。

 tea an de an, an baog van an. an et fiim. see an varae nos fiim.

 もし私が他人だったら、こんな男、殴っているだろうな。だって私はただの怠け者なのだから。こんな自分は愛せない。

 an et axk a yuu man an et fiim. taik an miyu elf tuube teln. ter, lan fiim kea elf teln fiim man lu et fiim, axma? ya, axma, hayu apen tinka.

 何にも上手くいかないのは私が怠けているからだ。なのに怠惰を直すことができない。怠け者は怠惰だから怠惰をも直そうとしない。始末におえないものだ。
 an en ins em baog, deyuk me ins. an deyuk turmel, homik yul sesmel. 拳を見るのをやめると、私は再び目を閉じた。現在を閉じ、未来を開いた。

tist"toal salt rakmes. om an aktat laami neeme lant sei. diin, an tiia em la im lamakt"

「もう何年になるかな」と小声で呟いた。「あの美しい姫と会ったのはいつのことだったか。いずれにせよ、私は始めてあったときに彼女のことを愛してしまったのだよ」

 an nat to im le sel sei. tu at hao lood xel an akt la. hel, an terkat xed lana kont sabes alsa dim.

あの日、私は何を考えていたのだろう。彼女に出会うなどとは予想だにしていなかっただろう。似合わないジャケットを着て、何とはなしに外へ出たのだ。
 an xaklat xe xa rak tito velt fremen ra ant. tea an sekat la, son an de an imen tur. そして家の近くの暗がりに人が居るのに気が付いた。もし彼女を無視していたら私は今の私でなかっただろう。

 an ziinat tito, nat nik man fian lant tinka xa atu. la kok an at yuli, tal la ses lant o fav o tor.

 暗がりを覗き込んだ私は驚いてしまった。というのも、とてつもなく美しい小さな少女がそこにいたからだ。彼女も私と同じで子供だったが、美しく華麗で魅力的だった。

 neeme--an lut anx laami lex soa--xaklat an, asexat al an. lans as nod la asex vil lantel lendi na.

 姫――と私は呼んでいるのだが――は私を見ると美しく微笑みかけてきた。天使の微笑みは美しいが天使でさえこのようには微笑めないだろう。
 an anxat sat la lex yunk tal an nat neeme et daz a la. an anxat la lex tu kont na pels. yan la fremat al an entel. 「嬢ちゃん」と呼ぼうとしたが、彼女があまりにも美しいので姫と呼ぶことにした。戸惑いながら彼女をそう呼ぶと、彼女はゆっくりと私に近づいてきた。

 la til nia fil ses. la sabates sala kaaf, nims duur, lus enge oken mels, dial gek o fir kaen osn. aal, miil kai kaen lus at imyu. miil til 2 fot yan tuus fot vatlates almixk laat.

 彼女は髪を長く伸ばしていた。桃色のシャツに薄青い色のセーター、フリルの付いたベージュのスカート、頭につけた白玉のアクセサリー、とりわけスカートの大きなリボンが変わっていた。リボンには2本の紐が垂れており、彼女の膕まで届いていた。

 neeme lunat frem an. yan an ovat vil nos.

 姫が私に近づいてきたが、私は身動きを取れなかった。
tist"ai, non sakik tyu"
 an lokit vil eks e rens luut.
koot, an tilat naver man lu fian et xiel vatai. tal lu laxat yuu al an. xink, an alkat van lu man an feelik luumi. tio, neeme xat lank an. ans en serat est e xok tis tal nat nil. ya, nat nil man tio ans xat xok.
「やっと見つけた、あなたを」
 姫は始めに小声でそういった。
全くわけがわからなかった。面倒なことになるのではと、不安な気持ちがよぎった。が、結局、姫は私に何も望まなかった。姫に一目惚れしてしまった私は彼女を助けてあげようと思ったが、姫は何も望まず、ただ私の隣に佇んでいただけだった。互いに名前さえ知らなかったが、私達は幸せだった。ただ一緒に居るだけで。

 xi konoote, lu xtamat. im tu, an nat lu leev fal an. tal an nat ans akt sen me xok im xe.

 12 時を過ぎると彼女は立ち上がった。私は別れを悟ると共に、再会をも悟った。

 an homik ins.

 私は目を開けた。
 xi lamakt, an akt ke neeme im tu sel tat salt. la lut vat an seere. ans xook sod e fe salt a xok. yan an sain la et fiana vol an akt la. 彼女にあって以来、私は毎年この日になると姫に会いに行く。彼女はいつも私を待ってくれている。私達は会ってその年の出来事を語り合うのだ。そして彼女に会って自分と彼女の存在を確認するのだ。
 an na nop du kal al akt la im fis. tu et man an na nil o vem a vort. an jig daksel nos lfis fal az tat akt. 今日も彼女に会うと考えると少し緊張する。緊張の半分は幸福で、残りの半分はしかし死の恐怖である。私は毎年彼女に会って、生きるべきか死ぬべきかを決めてきた。

 sa la leev an im lamakt, la kut soa.

 初めて出会ったとき、別れ際に彼女はこういった。
"ol tyu en lfis fal, son non fit fan a tyu yul vort seer"「貴方が生きるべきでないなら、次に会った時に私は静寂な死を貴方に与えるでしょう」
 an en na siia vem a tu rens tal im tur, tinkal. fis, an xiel set yu leemis ins diia. an nak soa lamel. 今日までこの言葉を恐れたことはなかったが、今は恐ろしく怖い。今年こそあの美しい緑の瞳に殺されるかもしれないのだから。私は始めてそう感じた。

 hai, an na vem a vort alfin an setat sat nos? an alesik a nos.

 それにしても自殺を図ったものが死を恐れる?――私は自嘲した。
 an akt lax la skolel, na lax nil. tal ins e neeme asex van al an sei. an lobik eel kon las. tur, neeme o vort es koa a mest. いつものように彼女に、姫に会いたい。そして幸せを感じたい。だが、姫の目は私に微笑みかけてくれるだろうか。私は顔を手で覆った。姫と死とが天秤にかけられていた。

 yan kaitkleima tistik al an yul vort kok neeme et volx, yul an nod neeme et volx.

 すると私の中のもう一人の私が囁きかけてきた。姫は死と等価なのか。お前は姫を自分以上に愛することはできないのか――と。

 teo, tu et teo. an stas sat kitto, tal lu klos onkel.

 否、断じて否。私はもう一人の私を追い払おうとしたが、奴は続ける。
"alson es ti jig vil nos akt la az" ならばなぜ姫に会うかどうかを決めあぐねているのか――と。

kon xiv"an jig vil tu en man an na vem a vort tal man neeme jap an lex vers o yudol!"

「私は死が怖くて迷っているのではない。姫に生きる必要の無いくだらない人間だと定められるのが恐ろしいのだ!」私は声に出して奴に答えた。

 haan, an na vem al en vort tet tu a. an nat pels mil tu xa. an lapx filel ont entel. yan myuok las it eel. tu et lanklas. tu lanklas hot oj siia neeme. im ses, an ojat mifel nia e neeme. an males tu sod monel alfin neeme en xaklat tu sod tis.

 そうか、私は死が怖いのではなく、それが怖かったのだな。そのことで私は悩んでいたのだな。私はゆっくりと長く息をついた。顔から手を離す。左手だ。この左手だけは姫に触れたことがある。以前、左手が姫の髪の毛に触れたことがあるのだ。私はそのことをよく覚えている。尤も、姫はそんなこと知る由もなかったろうが。

 an evik lanklas a kaam. neeme en xakles an na pels kok la en xaklat an oj nia laat na.

 私は左手を頬にあてた。私が姫の髪に触れたことなど知らないのと同じで、姫は私が悩んでいることも知らないだろう。姫は何ひとつ知らないのだろう。
 an tiia la. hayu an na pels. an na vem a set yu o yuki yu neeme milt an tiia la. xi xook oken kitto, an xaklik lu leeves an. だが、私は彼女を愛している。そしてそのことが私を悩ませているのだ。姫を愛せば愛すほど姫に殺されることが怖い、姫に否定されることが怖い。私ともう一人の私との言い合いが終わると、奴はいつのまにか消えていた。

 lu nat ani a das sei? az lu bas em das sei? az alt...? diin lu leeves an. xakl, lu leevat an man an bas em lu. an en xir em lu man an jigik nos akt ke neeme az.

 奴は忠告に疲れたのか、その必要がなくなったのか、はたまたそれ以外か、いずれにせよ奴はもういない。いや、私が奴を必要としなくなったから奴は消えたのだ。なぜなら、私はもう行くかどうかを決めたからだ。


 skolel, ansiel luna non xi varzon. im ilsalt, tu sel, xi varzon... la asex a non im sakik non siina. yan la xiit non kokko leemis ins le non siina.


 彼はいつも8時すぎに来る。毎年、この日の8時すぎに…。彼は私を見つけるとすぐに微笑みかけてくれる。そして私の好きなあの瞳でもって私の心を魅了してくれる。

 non xaklat tuube fia et vers ati tiina xalt la im lamakt. xiel, la teatl van tu fia ont ern e yuuma. non nalot tu vol in ins laat. taik la nat reia in. son non rensat soa.

 私は彼と初めて会ったときに、この世界が彼にとってなんら魅力的でないものだということを知った。彼の目を見て、私は彼がこの世界や他者を破滅させかねないと感じた。そして彼は寂しそうだった。だから私は言ったのだ。

"ol tyu en lfis fal, son non fit fan a tyu yul vort seer"

「貴方が生きるべきでないなら、次に会った時に私は静寂な死を貴方に与えるでしょう」
――と。

 la na elf vem a vort. alson non set sen la. hai la ser es non set sen la eyo. non set sen la alman la tiia non nod nan. la akt luna non kont na pels teu nan klia set yu non. hayu tu apia la tiia non nod nan. non taf sen seles laat vol set mil la tiia non. ins laat et ak im tu salt eyo. kaat, la luna fan non eyo.

 彼は死を恐れないだろう。だから私は彼を殺すことができるのだ。私が彼を殺せる理由というのを彼は知っているのだろうか。彼が自分より私のことを愛してくれるからこそ私は彼を殺せるのだ。私に殺されるかもしれないと思いながらも私に会いに来てくれる。それは彼が自分より私を愛してくれるということ。だからもし彼が愛してくれれば彼をもっと愛し、彼を殺して彼の魂を得るだろう。今年の彼の瞳はどのようなものだろう。そもそも来てくれるだろうか。


 faal es cuuf. xiel, non vajes atu.


 日が暮れていく。早く来すぎたのかもしれない。
 non hel kit amalis kokkoen axel kont vat la. 彼を待ちながら、彼と私の思い出を思い出し始めた。

 an myuok lanklas i kaam, deyuk ins.

 左手を頬から離すと、私は目を閉じた。
 an akt lax neeme. 姫に会いたい。
 an ris neeme yuki an. 姫に否定されたくない。
 an na ref man sedos pels, jiges nos ke van az. 悩みを断ち切り、行くか否かを決めた私は平静さを感じていた。
 an heles amalis oken xok kok an so im ilsalt. 私は毎年するように、彼女と私との思い出を思い出していた。

 --neeme l'an akt sen im tu sel

――その日に会うことができる姫
 an sed ena kaen rop kon las. 私は手で、左手で目頭の涙を拭った。
 pot an, asex al an lantel --sol selneeme l'an tiia. 私の頭の中で、美しく微笑みかけてくれていた――私の愛するソノヒノキが。