アルカの学び方
アルカを学ぶにはどの記事をどう読んでいけば効率が良いかについて説明します。
その前にまず、アルカを学ぶのは何のためでしょうか。
他の人工言語同様、アルカを話す人口は数える程度だし、文献も雀の涙ほどです。
ゆえに経済的な利得は零です。お金にしか興味のない方には正直薦められません。
人工言語に興味のある人にアルカを薦めます。特に作成者に薦めます。
エスペラントのような古典とアルカの両方を学び、両者を比較してみてください。
新旧人工言語を比べると、違いがよく分かると思います。
エスペラントはきっと簡単でしょう。慣れ親しんだ西洋語ですから。
アルカはそうではありません。
どちらが優れているという問題ではなく用途の問題です。
用途で見ると両者は対極です。だから言語の中身がこんなにも違うのです。
この対極を学ぶことで、貴方は人工言語の端から端までを行き来したことになります。
したがって貴方がこれからどのような型の言語を作るのであれ、その経験が役に立ちます。
ゆえに私はこの2言語の学習を言語の作成者に強く推奨します。
アルカのような言語を作るのも結構ですし、エスペラントのようなものでも結構です。
もちろん、その中間的な存在でも良いし、よりオリジナリティ溢れるものを作るのも良いでしょう。
でも、いずれにせよ言えるのは、先行文献は踏襲しておくべきだということです。
先行文献を考慮しないでレジュメや論文を書いたりしませんよね。あれと同じです。
先行文献に賛同して敷衍する場合でも批判する場合でも独自の理論を立てる場合でも、どの道先行文献を踏襲することは必要です。
私のころは新生型の人工言語がなかったわけですから、アルカを作るのは正直大変でした。
けれども貴方はアルカを先行資料として使うことができます。過去の私が羨む立場にいます。
ここではエスペラントの学習は扱っていません。専門のサイトが多くあるからです。
ここではアルカに焦点を当てています。
アルカを踏み台にして自言語の研鑽にぜひとも役立ててください。
作成者の役に立ってより研鑽された人工言語が世に出るなら、アルカも捨てたものではありません。
そう思って私はアルカを薦めることに決めました。
ただ、エスペラント等と違って普及させるものではなく、作成者に薦める資料です。
勿論、作成はしないが人工言語に興味があるという方も視野を広げるためにご活用ください。
さて、それでは実際にアルカを学習する観点で記事を見ていきます。
アルカの学習に必要ではない記事には「*」を付けています。
先の見えない学習は精神的にも辛いため、段階ごとに4つのセクションに区切りました。
第1課程
まず始めに文字を覚え、どの音価を持っているのかを覚えます。
幻字は25字です。1字に1音が対応しています。組み合わせた文字がないのでハングルより更に簡単だと思います。
対称形が多いので字形は覚えやすいでしょうが、慣れないうちはtとkなどをよく混同します。
私自身慣れるまで時間がかかりましたが、今更英語のpとqを間違えないのと同じで、どなたでも大丈夫です。
実は、一番初めの挫折ポイントがよりによってこの一番初めの文字です。
25とはいえ、覚えるのは面倒です。外国語ひとつ学ぶと思って頑張りましょう。
アルファベットの転写ばかりしていてはいけません。
因みに、覚えるというよりは何度も単語を書いて手で覚えて下さい。それが一番の早道です。
次に音声と音韻について覚えますが、アルカを話すわけではない方は記事2,4は適当に流します。
イントネーションはモダリティに関連するので覚えます。記事3は飛ばしません。
ただ、実際はクーノステイラ(?に相当)、ガコン(ピリオドに相当)、テンペラ(!に相当)を覚え、
後はせいぜいミレージュ(鋭い上昇調)を覚えればいいです。他は殆ど使いません。
第2課程
記事5から14までは語順と品詞論です。飛ばさずに読みます。
第一と第二課程が主に記憶する学習です。
6:品詞:後半は不要です。
7:名詞・代詞:指示代詞は必須です。残りは疑問、特定、零が多いです。次に任意、全体が来ます。他は殆ど使いません。
8:動詞・時相詞:時相詞で動詞の作り方を覚えます。アスペクトは5相+アオリスト。テンスは3時制あります。
法時相詞は頻出なので覚えます。可能と不可能が対になっていなかったりと非体系的なので、法時相詞が山場と言えます。
9:格詞:英語やドイツ語以上に格が豊富です。ふつうなら接続詞になるものまで格詞です。
記事25で再出しますが、格詞は種類が多いです。
ひとつの格詞あたりのカバー率が狭く、どの場合にどの格詞を使うのかが明瞭です。
それゆえ、英語入試の前置詞問題のような悩みはありません。
10:形副詞:難しいことが書いてありますが、殆ど実際の文中では出てこない記述ばかりです。
要は名詞の後に形副詞を置けば形容詞になり、動詞の後に置けば副詞になるというだけです。
しかもアルカは形容詞と名詞の区別がありません。活用もせず修飾できます。語順でどちらが形容詞か判断するだけです。
11:純詞:英語でいうところの文を修飾する語のことです。ただそれだけです。
12:接続詞:連言と選言、そして同格は覚えておきます。論理学的な記述は飛ばしましょう。oがandでazがorというだけです。
delは「~である~」と覚えると覚えやすいです。
格詞から作る接続詞とwhoseにあたる表現はかなり難しいです。
格関係の発達した言語を学習した人でないと理解しづらいかもしれません。
でも、実際偶に文中に現れるので、できれば覚えたいところです。表現がグンと広がります。
比較は簡単に覚えられると思います。
13:関係詞:難しいところは飛ばして表に頼るのが良いです。
14:感動詞:特記無し
第3課程
これで一通り文法は学びました。ここでは細かい点について掘り下げます。
ここからは記憶する作業は急に減ります。読み物として読んでいくだけになりがちです。
15:格組:これを理解しておけば英語や日本語に惑わされてan xa-i ka koaなどと言わずに済み、独特なアルカ観を養えます。
16:代動詞・死生動詞:代動詞は殆ど使いません。死生動詞は一番頻度の高い部類の動詞です。
これのおかげでアルカのコロケーション学習は自然言語と比べて何倍も簡便になっています。
17:受身・使役:受身は簡単なのですぐ理解できます。間接受身は殆ど使わないのでパス。
使役はsos-eを覚えます。後はrot-e,dop-e類くらいしか使いません。
18:従属節の時制:リーディングするだけなら基本的に不要です。
でもライティングするならここを押さえておかねば出来事の前後関係を正しく表現できません。
英語とまるで逆なので不自然に感じるかもしれません。
19:n対語:ようやく語彙に入りました。n対語のおかげでアルカは数百語覚えるだけで千以上の語彙を覚えることができます。
*20:使徒幻字:文化に入りました。暦に主に使う文字なので人工文化に興味がなければパスです。
*21:メル暦:アンティス関連なのでパス。
しかし地球の暦と比べても変わった暦ではあるので興味があれば読んでみると面白いかもしれません。
また、ここで初めてトップページに何故beezelなどといった語が書かれていたのかが理解できます
*22:アルミヴァ:時間を表すのに使います。ただ、数字でも言い換えられます。
23:数:これは必須です。特に基数と序数を語順で表す点をよく覚えておきます。
24:日常語:覚えておくと何かと便利です。他の項と独立して単独で覚えられる点も特徴です。
25:その他の格詞:上述の格詞の敷衍です。ふつうの名詞をそのまま格詞にしているだけなので覚えることは特にありません。
26:不定詞:動詞っぽい語は時相詞がなくてもset!(殺せ!)になったり、
形容詞っぽい語は被修飾語がなくてもtas(大きい)みたいになったりするということです。
第4課程
もはやここまで来れば学習者ではなく使用者の領域です。
HPに挙げてある作品や理論を実際に読む段階です。
これが終われば全課程終了です。
*27:比較の応用:比較についての応用。アルカの比較は相対評価と同時に絶対評価も行う点で英語と異なります。
*28:学びやすさと語法:ここまでしっかり読んできたら、すんなり頭に入ってくる内容だと思います。
*29:dapit「あれこれ」:ここで初めて実例が出てきました。同じような文言が繰り返し出てくるので読みやすいと思います。
30:問題と解説:これが重要な記事です。この問題が解ければアルカの学習はクリアです。後は著作物をゆるりと見ていきましょう。
31~33は読み物です。語法の重要性は新生人工言語論で説いているので実感されていると思います。
覚える必要はありませんが、アルカを書くときはこれらを参考にすると良いと思います。
あと、長いので全部目を通さず、辞書として使うのが良いと思います。
尚、言語学を知っている人でないと分かりづらい面もあると思います。迷ったら遠慮なくご質問を。
*34:「あとで」:詩と特殊な文字が見れます。また、人工言語の実演も聞けます。
35:表意幻字と天秤部:実際の文章を読むとき、これらの記号の意味するところを知っていれば読解力の向上に繋がります。
*36,37:特に学習に関係はありません。
38:『紫苑の書』:これがこのHP最大のアルカ文献です。
小説になっているし日本語とのコラボなので読みやすいと思います。
ただ、後半までで大半が挫折します。しかし、記事30をクリアしていれば、分からない語を辞書で引くだけで読めます。
実際にアルカの文章がどのようなものであるかを知ることができ、アンティスにもアトラスにも触れることができます。
39:単語帳12000:引く物です。わりと重宝します。
*40:印象的な言葉:読み物です。
*41:アルバザードの風土:紫苑を読む前に読んでおくと良いかもしれません。
*42:「川のほとりで」:詩です。siktよりも抽象的で絵画的な内容になっています。
*43:アルカは西洋語か:読み物です。
*44:幻字の歌:歌の公開は容量の関係で停止しています。ご希望があればご一報ください。
*45:抄訳アルバシェルト・青本:アンティスについての膨大な資料の一端です。アルカそのものには関係ありません。
46:アルカの学び方:本稿です。
*47:文法事項目録:アルカ文法でなく一般言語学の術語から記事を引ける目録です。
*48:アルカの位相:性別や人間性によって同じアルカでも差があります。アルカの部屋で実際の音声も聞けます。
*49:リスニング:人工言語は仕組みが簡単ですが、聞く・喋るの難しさは自然言語並みです。ここで実感できます。
*50:メテ・ルティア方言:アルカの方言です。
*51:オノマトペ:古アルカの音象徴が制アルカでは単語&オノマトペを作ります。ニュアンスはわりと細かくかつ体系的に作れます。ただ、頻度は低いです。