人為性による人工言語の分類



 人工言語と自然言語は対極の位置にあるが、その中間的存在がある。それはピジンやクレオールである。

 ピジンはたとえば商港の英語話者と中国語話者の間などで発生する。中国語話者が意思疎通を図るために英語を簡略化し、商業用として実用する。それがピジンイングリッシュである。ピジンイングリッシュは英語を簡略化したものなので自然言語である。しかし元の英語に比べると人工言語に近い性質を持っている。

 たとえばピジンイングリッシュは意図的に文法が複雑な構造を持たないように変えられている。 こうしたことは英語母語話者間では起こらないことで、かなり人為的に言語が変えられているといえる。 また、商人らが短期間で意図的に作ったという点も傍証となる。これらの点において、ピジンは人工言語に近いといえる。しかし商人らが計画して創りあげたのではなく、商業上の必要性から自然に発生したものであるため、あくまで人工言語ではない。よってピジンは人工言語と自然言語の中間に位置する。

 その土地の子供たちがピジンを母語として習得すると、ピジンはクレオールになる。要はピジンの格が上がっただけであるから、クレオールも同様に人工言語と自然言語の中間に位置する。

 このように、人工言語と自然言語の間にピジンやクレオールなどの混成言語が存在する。言語を人為性で分類すると、このように3種を挙げることができる。


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