最小対語の処理法
最小対語については常に聞き間違えの可能性があるわけですが、
その可能性は音によって異なります
palとbalは聞き違いやすいですが、palとnalは相対的に聞き間違えづらいです
pとnは調音点と調音法が違うからですね
母音についても口の高低と前奥が近い母音同士は音波が似ているので間違えやすいです
最小対語を気にする場合、特に聞き違えやすいものを注意するといいと思います
理論上ありえる最小対語を全て検索して互いに意味が似ないように注意すると、
膨大な時間がかかります。そこで、その言語で聞き違えやすい音だけを焦点化します
聞き違いやすい音といっても、学習者の母語によって変わります
作成段階で日本語に合わせてしまうとオリジナリティが失われるので、
その言語の音韻論を予め決め、その言語の話者を想定します
そしてその架空の話者が間違えやすい音をその言語の音韻論と照らし合わせて決めます
そうすればその言語での聞き間違えやすい音を決定できます
音韻論を作るということは音節構造も出来上がっているわけです
したがって、その言語が子音重視か母音重視かということも分かります
いいかえると高周波の子音に耳を向ける言語か、
低周波の母音に耳を向けるかという違いが分かります
もし母音率が高く、しかも母音の種類が少なく、子音連続が少ない言語の場合、
聞き間違いは主に子音に起こりやすくなります
したがって、最小対語で気をつけるのは子音が関わるものになり、
先ほどの話より更に限定されます
ここまで監視しなければならない語を減らしていけば、
恐らく手作業で気をつけながら作っても最小対語による問題は解消されると思います
まとめると、まず意識しなければいけない最小対語を篩うための理論を作る
それは音韻論的なもので、音節構造や母音率や子音連続などが絡む
そしてオリジナルの理論が出来上がれば、それに即して意識すべき最小対語を篩う
篩った結果の中に文脈的にも似通った語が出てくれば、それは変える
こうすれば少ないの労力で最小対語による誤解や問題を回避することができる
――ということになります
尚、聞き間違いはソノリティとも関与します。ソノリティは聞こえのことで、母音のほうが子音より高いです
したがって、一般的なことを言えばpal,balよりpal,pilのほうが間違えられにくいです
アルカのn対語が母音によるアプラウトを採用しているのもこれがひとつの理由です
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