続Q&A



No.17: 人工言語って普及できるの?

地球の全人口が話すようにはなりません。また、現在は英語が事実上の世界語ですが、この代わりになることもありません。
学校が英語を学ばせるのは英語が世界で使われているからです。個人が英語を学ぶのは留学したり就職を有利に運びたいからです。
でも人工言語を学んでもこれらの利益は得られないため、多くの人は学ぼうとしません。
それどころか人工言語というものを知らない人が殆どです。「英語」という言葉は子供から年寄りまで知っているのにです。

現状、普及は限られた知的階層の中で行われています。普遍言語というよりは仲間語っぽいイメージです。
普及に関しては言語学の範疇ではなく、むしろ社会学、経済学で見る必要があります。
社会的にも経済的にも力が無く利益の見込めないものが英語を凌駕することはありえません。残念ですけどね……。

No.18: 普及できないのにそれでも言語を作るの?何か良いことがあるの?

社会的・経済的に良いことは特にありません。だから商業化されていないし、人口も少ない分野です。
むしろ芸術的・哲学的な価値がある分野です。独創世界を創るという芸術性。そしてそれに没頭する哲学性。
言語は思考の土台です。誰もが母語に支配されているのに、その影響下から脱出して完全に独立したアイデンティティを持つ。
それには人工言語が有効です。思考の土台さえ自分で作り、完全独歩を築く。精神の解放という哲学的な価値があります。
簡単にいえば「俺(達)だけの世界」の創造です。神の所業とも言われる行為で、secret viceなどと表現されることもあります。

No.19: 人工言語を作っている人は他人の人工言語が邪魔?あなたは他の人工言語をどう思ってるの?

基本的にNOです。全員の心を覗いたわけではありませんが、作者はふつうそこまで偏っていません。
言語の利用者のほうは分かりません。言語をイデオロギーとして使う人が歴史的には確かにいました。
ひとついえるのは、いまそういう政治的な動きする人がいても、言語そのものとは無縁だということです。

私が他の人工言語をどう思っているか。そうですね、もっと人工言語が増えて、もっと人が集まってほしいですね。
その過程で可能なお手伝いはしますし、私自身、作者の意思を知るためにその言語を学ぶでしょう。
もっとも、私は語学がそこまで得意というわけではないので、四苦八苦でしょうけど。
ただ、人工言語論を展開している立場上、どんなタイプの言語であれ、分析的に見ていくよう心がけています。

No.20: 普及できないと聞いても、それでもやっぱり自分の作った言語を広めたい!

まぁ作品は誰かに見てほしいものでしょうね。私は普及に関しては門外漢ですが、必要なのは言語の合理性ではありません。
普及に関しては社会性や経済性の問題でしょう。個人だと経済性は見込めないから、社会性が重要です。
色んな分野との友好関係を自分から築くコミュニケーション力が必要です。「ゲレンデで王子様待ち」はアウトです。

教育現場・障害者・高齢者・広告など、言語は様々な分野で役立つ可能性があります。
広めるに値する言語だと自分で思うなら、具体的に各分野でどう役に立つかを提示してアプローチをかけていくのが重要です。
普及型を作る人にはむしろ社交性が大事だと思います。別に善人である必要はありませんけれども。
そういう意味で普及型は作者の存在やキャラが非常に重要なポイントになると思います。

No.21: 言語を学ぶのと同じで、作るのにも年齢制限ってあるの?

そもそも学ぶほうにも制限はないと思いますが……。作るのに制限はありません。
ただ、上限はなくても下限はあると思います。自分で思い立って言語を作るには第二次性徴が必要だというのが持論です。
この時期、人間は第二の誕生を迎えてアイデンティティを確立しはじめます。
いわゆる言語の臨界期を迎えますが、同時に語彙をはじめとした母語の能力が急激に高まります。

新しい言葉や本で読んだ難しい言葉を使ってみたくなったり、ラジオを聴き始めたりする年頃です。
今までは親に何か頼むか親の質問に答えるために使っていた言語が、意思を発信するためのものに変わります。
こうして言語と向かい合う準備を整えます。こういう第二次性徴が無いと、言語を作ろうという発想には至らないでしょう。
日本でいえば中学生でしょうか。女子は少し早い傾向があると思います。

No.22: 中学生でも言語が作れるの?その後どうなるの?

日本の場合、日本語と英語の影響をモロに受けると思いますが、作れます。いまはネットのおかげで作りやすいはずです。
典型的には男子は「俺世界」や「俺暗号」を作ってみたくなるというのが動機でしょうか。クリエイティブですね。
日本人の女の子で中学のときに言葉を作った人から聞いた話ですが、動機は秘密日記を書いたり空想に浸るためだそうです。
男子が世界を分類し定義する規定者になる一方で、女子は幻想世界に憧れていくみたいで、イメージが何となく異なっています。

知識量と若さゆえの移り気のせいで挫折しやすい時期ですが、基本的にそういう人は言語に聡い人ですから、再燃したりします。
たとえば高校で、ふとあるとき再燃します。中学のときよりは良いでしょうが、まだ知識不足で満足な出来にはならないでしょう。
多感な思春期が終わると、日本語があれば生活できるこの国では国際語の必要性はないので「俺世界」はお役御免になります。

大学以降は語学などの兼ね合いや普及意欲や更なる「俺世界」への追求などで人工言語を作ります。
大学生のうちは一番何でもできますからね。まだ少年っぽさも残っているので夢を追う力もありますし。
社会人になると時間的に一気に厳しくなって、世の中の厳しさも知るし、殆ど続けることはないと思います。
典型的にはこんな感じでしょうか。言語的に平和な日本では「多感な思春期の内なる精神性」というのが人工言語に至る病です(-_-;

No.23: 作り方のガイダンスってないの?

一応このHPにも置いてあります。
「人工言語の作り方」