・呼格

アルカにも呼格があるようだ。
語形は変わらないのだが、アクセントやイントネーションで非呼格と区別される。
日本語で「コリン」という猫の名について、「コリンが」というときと、「おーい、こりーん」と呼ぶとき、音調が異なる。それと同じだ。
アルカも呼格を音調で区別する。この音調は呼格にしか起こらない。また、文中では呼格は文法的に現れることができない。

指小辞屈折は文中で現れることができない。つまり「フェールちゃん」と呼びかけるときはfeelenといえるが、「フェールちゃんが」というときはfeelenといえない。
その理由は、文中では呼格の特殊な音調が使えないためである。
ためしに日本語で「こりーん」と呼びかけるときの言い方で「こりーんが」というと、違和感を感じるだろう。それと同じだ。呼格の音調が文中で現れることができないとわかる。
そしてアルカの呼格は指小辞と結びつくので、「フェールちゃんが」のように文中に来れないということが分かる。

このことをセレンは把握していなかったので、ねこにっきでは「feelen」と主格で使ったことがある。
しかしセレンも口語では違和感を感じていたので主格などで用いることはなかった。

呼格以外でfeelenを使うときは、feelen, la lunatや、feelen liij lunatやfeel liij lunatなどとする。
この場合、音調は呼格でなくふつうの言い方に戻る。そしてこの迂言法により属格と区別できるようになる。
属格の代名詞用法でxianというと「紫亞のもの」を指す。
tu et xianが「紫亞のもの」か「しあちゃん」か分からないという誤解はこれでなくなる。

feelen, la lunatやfeelen, tyu siina tu?など、代名詞で直前のものを受け取るというのはフランス語のEt je suis une adult, moiのような用法に近い。
jeがあるのでmoiはいらないのだが、moiはjeを受けている。アルカのほうも、feelenをわざわざlaで受け取っている。