・語彙目録
ひょんなことから魚楠さんの語彙目録計画に乗っかった。
人工言語を作るとき、最初は1語も作ってないわけだから、どの単語をどれだけ作ればいいか迷う。
かといって分類語彙表みたいな膨大な資料を参照して単語を作るのは大変すぎる。
じゃあ基本レベルを一通り作れる語彙目録を作れないだろうか――という企画のようだ。
かといって分類語彙表みたいな膨大な資料を参照して単語を作るのは大変すぎる。
じゃあ基本レベルを一通り作れる語彙目録を作れないだろうか――という企画のようだ。
昨日出た氏による例はこんな感じ。
親族名詞は男女・長幼などの要素で決める。
植物は木、草、さらに花に分かれ、実は食用か否かで分かれ……。
植物は木、草、さらに花に分かれ、実は食用か否かで分かれ……。
なるほど。どんなものを作りたいか把握しました。
では次のステップ。これらの項目を1000個作って羅列しても使えないので、項目を分類するわけですが、どう分類すればいいか。
では次のステップ。これらの項目を1000個作って羅列しても使えないので、項目を分類するわけですが、どう分類すればいいか。
例えば味、つまり「甘い」や「辛い」はどこに分類すればいいか。
恐らく、「感覚→味覚→甘い」というように、大中小の項目に段階的に分類していくのが現実的。
今回は1000概念程度は扱うだろうから、項目の段階は3程度がいいように思う。
恐らく、「感覚→味覚→甘い」というように、大中小の項目に段階的に分類していくのが現実的。
今回は1000概念程度は扱うだろうから、項目の段階は3程度がいいように思う。
・オープンとクローズドな項
親族名詞は意味素性が有限で、従って親族名詞のバリエーションも有限な組み合わせしかできない。
こういう項をクローズドと仮にしよう。
こういう項をクローズドと仮にしよう。
逆に味覚というのはオープンだ。というのも、何種類の味に分類するかは決めようがない。
旨味だ収斂味だというのがあるかもしれないし、辛いは塩辛いなのか香辛料で辛いのか、いくらでも細分化できる。
こういうのをオープンと呼ぼう。
旨味だ収斂味だというのがあるかもしれないし、辛いは塩辛いなのか香辛料で辛いのか、いくらでも細分化できる。
こういうのをオープンと呼ぼう。
「クローズドな項についてどのような意味素性の組み合わせを採用するか」&「オープンな項についてどのような細分化をするか」
というのが、実は言語ごとの語彙の個性なんじゃないか?
というのが、実は言語ごとの語彙の個性なんじゃないか?
本語彙目録はオープンなものはオープンで、どれくらい細分化できるかの目安を述べる必要があるだろう。
クローズについては意味素性を余すところなく述べる必要があるだろう。
ただ、その結果出てきたものが基本レベルとはいえない難しさの場合、主観的にそれを弾く必要があろう。
クローズについては意味素性を余すところなく述べる必要があるだろう。
ただ、その結果出てきたものが基本レベルとはいえない難しさの場合、主観的にそれを弾く必要があろう。
・序列
項には序列があるように思える。
姉と弟の区別がある言語に男女の区別がないとは考えにくい。すると男女>兄弟姉妹という序列が見えてくる。
文法事項も同様。調査が必要だが、謙譲語があるのに尊敬語がない言語は考えにくい。
姉と弟の区別がある言語に男女の区別がないとは考えにくい。すると男女>兄弟姉妹という序列が見えてくる。
文法事項も同様。調査が必要だが、謙譲語があるのに尊敬語がない言語は考えにくい。
本語彙目録には序列の記載が必要だと思う。
作者が意味素性を読んで好きに意味素性をいじり、姉と弟を区別するパラメーターをはじき出しておきながら、男女を区別しない設定にする恐れがある。
作者が意味素性を読んで好きに意味素性をいじり、姉と弟を区別するパラメーターをはじき出しておきながら、男女を区別しない設定にする恐れがある。
・リンク
英語で辛いはhotだ。味覚はどうも味覚だけでなく温感にも関連しているらしい。
ここまでの手法だと、項目同士の関連性には言及できていない。序列しか言及していないので、別の中項目に属する項目同士の関係が見えない。
だが言語には感覚の転用もあることだし、項目同士のリンクにも気を使うべきだ。
ここまでの手法だと、項目同士の関連性には言及できていない。序列しか言及していないので、別の中項目に属する項目同士の関係が見えない。
だが言語には感覚の転用もあることだし、項目同士のリンクにも気を使うべきだ。
ただ、よく考えてみると、味覚と温感が関係あるといっても、それは辛いだけではないか。せいぜいあとは塩辛いとか。
一方、温感も味覚と関連あるのは熱いであって、冷たいは関係が薄いように見える。
そう、中項目同士がリンクしていても、小項目によって距離が異なる。辛いと熱いはリンクが強いが、甘いと冷たいはリンクが薄い。
だが、これを一々文字で書いても分かりづらい。そこでこのような図にしてみると分かりやすい。
一方、温感も味覚と関連あるのは熱いであって、冷たいは関係が薄いように見える。
そう、中項目同士がリンクしていても、小項目によって距離が異なる。辛いと熱いはリンクが強いが、甘いと冷たいはリンクが薄い。
だが、これを一々文字で書いても分かりづらい。そこでこのような図にしてみると分かりやすい。
実はこの分析方法はシソーラスでは既に実用化されている。
最近の辞書業界で「へぇ」と思われているこんな辞典がある。
最近の辞書業界で「へぇ」と思われているこんな辞典がある。
ビジュアル・シソーラス
http://www.visualthesaurus.com/
http://www.visualthesaurus.com/
この例ではシソーラスに使われているが、概念同士の連関を示すやり方にも当然使える。
・手順
上記を踏まえた上で理想的な手順を想定してみる。
1:大項目と中項目をリストアップ。これは素直に分類語彙表や事典や「英語表現集○千」みたいな本の目次を参考にしないと苦しいだろう。
2:小項目を執筆。クローズドな項には意味素性を列挙。オープンな項には細分化のバリエーションをできるだけ例示。
3:項同士の序列を決める
4:中項目同士のリンクを決める。小項目同士のリンクの強度を決める。
5:4を図に
6:基本レベルを超えたと思われる項を消去。ないしもったいなければ「応用」タグでも貼って残しておく。
7:公開
8:フィードバックを元に修正。機能を追加し、ベーシック版のほかにプロ版を作る。
9:プロ版をネット販売。魚楠ウマー。
10:天空の城を建設。そして伝説へ。
2:小項目を執筆。クローズドな項には意味素性を列挙。オープンな項には細分化のバリエーションをできるだけ例示。
3:項同士の序列を決める
4:中項目同士のリンクを決める。小項目同士のリンクの強度を決める。
5:4を図に
6:基本レベルを超えたと思われる項を消去。ないしもったいなければ「応用」タグでも貼って残しておく。
7:公開
8:フィードバックを元に修正。機能を追加し、ベーシック版のほかにプロ版を作る。
9:プロ版をネット販売。魚楠ウマー。
10:天空の城を建設。そして伝説へ。
――こんなとこですかね。7以降は理想すぎました。