ユティア朝アルバザードは政党政治や株などのマネー経済を採用していないが、資本主義は維持している。
従って所得や職業による階層が存在する。

階層は9段階。上の上から下の下まで。
魔族と同じく惑星で示す。

職種は11種。サービス業や製造業など、11種に分かれる。
こういうのは東証一部の分類などで、日本人にとってもなじみやすい。

従って、どの職種のどの階層かで人間を99種に分類できる。
「彼は裕福なラスティアディンだ」というような表現ができる。
「ベルエによる暴動が発生」などの表現もできる。

階層は主に年収で決まる。
女は家にいるものなので、キャリアウーマン以外は階層の枠から外れる。夫の階層が自分の階層になる。
学生は学校のネームバリューで階層ができる。

階級はないが、階層があるという点で、日本やアメリカなど、地球の先進国と近い状況といえる。
同じ理由で、イギリスとは少し違う。

じゃあ具体的にどのくらいの年収?という話になる。
アルバザードの額面を言われても分からないだろうから(物価も違うし)、日本でいうとこのくらいという目安を掲げてみた。

上の上:もはや個人の年収ではなく年商何億と話した方が早い人々
上の中:2000以上
上の下:1000以上

中の上:600〜750
中の中:450〜600
中の下:380〜450

下の上:300〜380
下の中:200台
下の下:それ以下

なお、アルバザードは階級社会を否定していないので、表向きには階層はハッキリ定まっていない。
そこで、年収以外の条件もポイントとして加算減算され、最終的な階層が決まる。

例えば学歴があれば加算、早いうちに結婚して子供があれば加算、前科があれば減算、病気があれば減算etc……。
年齢も当然考慮される。同じ年収なら若いほうが上。
だから年収300でも、状況次第では中になれることもある。幸せに生きてれば300でも中。300でも幸せ論の森永卓郎みたいだな。

逆に1000稼いでても将来性のない外資とか、不安定な外資とかだと階層は下がる。
今年1000万、来年分かりませんというのは上にはなれない。安定性も大事。

あとはブランドも加算。ランスケルンやアルテナ(これは省庁)などは格が高い。
格が高ければ、勤め始めで年収がまだ低くても上になれる。

なお、勝ち負けの分水嶺は中の中だが、ここで分けると実は人口を二分できない。上より下の方が多いから。
そこで実際のラインは中の下。
思えば、日本でもこのラインについては同じ状況なのではないかと思う。

日本とアルバザードの違いは、アルバザードは中層が圧倒的に多い点。日本は380以下の下層が多くなっている。
また、1000以上の上層は、1000を超えた分は慈善事業に回すことが社会的な義務であり、実際の収入は1000程度であるという点も異なる。
さらに、国が300までの所得を保証するため、実際の貧困者が少ない点も、日本と異なる。

上下の格差を縮める上、そもそも中層が多いこともあり、それがアルバザード人独特の「大人しさ」や「誠実さ」や「紳士的な行動を好む」や「窃盗など金銭の犯罪が少ない」などの国民性を作っている。
反面、上層による下層の見下しは大きく、下層が上層に顕著に媚びへつらう封建性も特徴的。
アルバザード人は上品と清貧を好むため体育会的な見下しはしないが、確実に見下してはいる。
下層は上層の慈善事業で食えているため、上層には逆らえない。

このシステムの中で割りを食っているのは、最も清貧を尊ぶ召喚省。
召喚省は身分さえ隠すため、レインは金持ちの自覚がない。周りの生徒もレインに敬意を払わない。
従って、いじめられっこなレインは学生時代に苛められた。
親が召喚省の役人でなかったら、レインは上層のお嬢様として特別扱いを受け、苛められることはなかった。