アルカの目的は様々だが、セレン個人の目的は、最も真実味のある架空を作ることだ。
自分のためにあつらえた自分の世界と言語を使ってのみ、人間は自分の芸術や創作活動を表現できると考えているからだ。
創作に言語はつきもの。人間は何をするにも言語で考えて作業しているからだ。

だから、自分以外の要素を排他するには、言語レベルから作らねばならない。
ようは、人の筆と画板使っちゃだめでしょという話。
そう考える人間は60億人中ほぼゼロなのだが、自分はそう思っている。まぁ、いいじゃないですか。

だが、ときおりこんな不安が出てくる。
セレンは日本人。当然日本語で聞くのが一番心に響く。
確かにアルカはオリジナルで、自分の嗜好を反映できる。

だが、アルカには日本語ほど精通していない。
だから日本語ほど心に響かない。
じゃあ、アルカより日本語のほうが心を表現できるじゃないか。

確かにその通り。
だから、不完全だけど慣れている日本語というツールを使うのも、ありなのだ。
だが、それが嫌だと思っているから、アルカを研鑽するしかない。
人工言語で母語並の心を作るのは、難しいのだ。