全部否定は動詞を否定することで作る。
すなわち、動詞にかかる否定は文全体にかかる。

従ってtu de rat(それは良くない)はen tie tu et rat tunと論理的に等しい。
tu de ratは「それが良い」ことを否定している。

動詞以外にかかる場合は部分否定になる。
tu et en ratは「それは良くはない」という意味である。

tu de ratとtu et en ratはニュアンスが異なる。
前者は単なる否定で、「良くない」という意味。後者は「良くはない」という意味で、含みがある。
la de lant(彼女は美しくない)はかなり傷つくが、la et en lant(彼女は美しくはない)はややダメージが低い。

部分否定のほうが修飾の選択肢が多い。動詞以外すべてに付けられるためである。
la sontat miva se niit(彼は優しく娘を撫でた)を部分否定にすると以下のようになる。

主語:en la sontat miva se niit(彼以外の誰かが優しく娘を撫でた)。母親が撫でたなど。
目的語:la sontat en miva se niit(彼は優しく娘でない人を撫でた)。息子を撫でたなど。
副詞:la sontat miva s'en niit(彼は優しくなく娘を撫でた)。わしゃわしゃ髪を触ったなど。

seとs'en


注意すべきはseとs'enである。nの有無で意味が変わる。
ただし、リスニング時にはseとsenの音の高さが異なるので、実際に困ったケースは今のところない。
nの有無というより、音の高さの違いで判断している実感がある。

具体的には、seは「来世」の「せ」のように、低く発音される。
s'enは「煎茶」の「せん」のように、少し高く発音される。

厳密な解釈


「tu de rat(それは良くない)はen tie tu et rat tunと論理的に等しい」と書いたが、厳密な解釈では異なる。

an en siina la(私は彼女が好きではない)は、厳密には「私は彼女を好む以外のことをする」と解釈できる。
厳密な意味で文全体を否定するには、en tie an siina la tunと言うしかない。
しかし、明らかに冗長なので、日常的にはan en siina la=en tie an siina la tunとしている。