この世の森羅万象を命名する必要はない。
有機化合物だけでも1000万種以上ある。一日100語作っても300年かかる。
しかもこれで有機しかできていない。
私たちが作っているのは目録ではない。言語だ。

では、目安はどこだろう。
恐らく日常目に入るものを名付ければ十分だ。

かといって車の部品は1万種もある。
車だって目に入るものだ。これを全部名付けることになってしまう。

そこで定義を詳しくする。
目に入るもののうち、認識単位だけを命名する。
マニアやプロ以外にとって、ハンドルやブレーキは認識単位だが、ハンドルの細かい部品までは見ていない。
目に入るといっても、それをひとつの単位として認識していなければ、命名する必要はない。

次。また定義を詳しくする。
定義に、文字の認識単位も含める。
物体の認識単位だけでは不十分だからだ。

例えば我々はキシリトールという物体を見ても、単位として認識しない。
しかし、ガムの原材料名に書いてある「キシリトール」という文字なら認識できる。
「あぁ、歯にいいアレか」程度に皆も認識しているはずだ。
こういうのも命名する。

つまり――

1:身の回りのもののうち、物体の一単位として認識しているもの。
2:身の回りのもののうち、物体としては認識していないが、文字で見て一単位として認識しているもの。

――を名付けることになる。


ちなみに、私の場合、子供が大きくなったときに「これなぁに?」と言われて「アルカでは言えないんだよw」と逃げないようにするのが目標。
子供はキシリトールの物質を見ても単位として認識しないだろうが、製品の箱に書いてあれば、いずれ「なんだろこれ」と思うだろう。
だから文字単位も含めている。

すると、当然化学が必要になる。これがきわめて面倒くさい。
アポステリオリならそのままIUPACを真似ればいい。
しかしアプリオリの場合、せいぜいIUPACを参考にするだけで、結局はゼロから作らねばならない。

キシリトールだけで済むならdivnのように慣用名を付ければいいが、食品添加物は多様なので、いずれ化学を作らねばならない。これはエスペラントでもそうしている。
物理や数学なら逃げられるが、化学は製品に書いてあるので逃げられない。
しかし逃げるといずれ子供に「ちょwwwオヤジwww身の回りのものすら言えないとかwww」と言われるので困る。
別に子供がいなくても、身の回りのことが自分の言語で言えるというのは人工言語としては目安になると思う。