・lensnalt

レンスナルト。
なんか武器の名前っぽいけど、「知の城」という意味。
一連の専門用語作成をしていて、リディアの凄さを実感した。

アプリオリで言語を作り込んでいくと、アプリオリで風土や文化も作る羽目になる。
文明が高いと、学問まで作ることになる。学問だけじゃない。絵も化粧も食べ物もすべてだ。

これって凄いことだ。すべてを広く勉強しなきゃいけない。たとえ浅くでも。
人には好みや偏りがある。すべてに万遍無く興味持って調べるなんてできない。
俺はギャルの化粧とかブランドとか、一切興味がない。でも、それも考察しないといけない。
化学できなくても勉強しないといけない。将棋ヘタでもシェルトとか研究しなきゃいけない。
服なんか作れないのに被服も勉強しなきゃいけない。

現状これができているのは、リディアだけだ。
彼女は知の城に住んでいる。しかも自分で建てて。
凄い子だ。あと、かわいいし。

・nameさん

化学をやるとnameさんを思い出す。
元素を命名したとき、「ひとまず御苦労さま」と言ってた。
はっきりとは覚えてないが、「でもそれ以上は来ないことだ。ここまでにしておけ。ギ酸などは異世界でもギ酸と命名した可能性は低い」というようなことを言ってた気がする。
そのときは諦めたが、なんか、すごく負けた気がして、覚えてた。

化合物を名付けるというのは、その名付け方のシステムを作り、よくある物質を登録すればよい。
それならできるんじゃないか。――と思ったが、それでもけっこう大変な作業だ。
しかもIUPACを真似る(もとい、参考にする)と、アプリオリとはいえ、アポステリオリ臭がしてしまう。アルカにとっては問題だ。

セレンの命名法は一案として、暫定的に受け入れてもらうことになった。
リュウもリアルに化学するときは英語でやってるらしいし、別にアルカで化学をどうしようがあまり問題ないそうだ。

セレンは文系なので命名は甘いが、何よりアプリオリ度の極めて高い化学を創れたことは、非常に満足だった。
きっと間違った記述もあるだろう。でも、自分たちの世界だ。そこに意味がある。
しかも今回はリュウとリディアとniasさんが見てくれたので、自分でやるより遙かに良いものが創れた。

この満足の最大の理由は、「無理するな」というnameさんの言葉に挑めたからかな。
俺も俺なりにやりましたよ、と。でも、もう彼はいない……。