フルミネアの考えた「後ろから3モーラ目にアクセント」の法則だと、例外が多すぎる。
amavel,amalisは'amavel, 'amalisだが、法則だとa'malisになる。
hardianも'hardianなのにhar'dianになってしまう。
いちいちアクセントを打つのが面倒くさい。どうにか法則化できないか。
amavel,amalisは'amavel, 'amalisだが、法則だとa'malisになる。
hardianも'hardianなのにhar'dianになってしまう。
いちいちアクセントを打つのが面倒くさい。どうにか法則化できないか。
また、verginaやartenaやestiaなどはなぜ最後にアクセントが来るのか。
以上2点について考察する。
以上2点について考察する。
平板
ヴェルギナもverginaも最後にアクセントがあるが、実際の発音は平板であり、「アクセント下降が見られない」という意味だ。
「ヴェ・ル・ギ・ナ」が低高高高となり、一度あがったら下がらないことを指す。vergi'naと綴っても、naだけ高いわけではない。
ここがフランス語との違い。conversationだと「ヨォ〜ン」の部分だけ高い。幻日はともに後ろだけ高くなるということがない。
これを平板という。
「ヴェ・ル・ギ・ナ」が低高高高となり、一度あがったら下がらないことを指す。vergi'naと綴っても、naだけ高いわけではない。
ここがフランス語との違い。conversationだと「ヨォ〜ン」の部分だけ高い。幻日はともに後ろだけ高くなるということがない。
これを平板という。
さて、なぜ平板が起こるのか。その理由は恐らく労力だ。人間の声というのは語頭ほど息があるので高く強いが、徐々にダウンステップしていくようになっている。肺は風船みたいなものだからね。
つまり、人間の声はブレスが来るまでは右肩下がりで、\状になっている。(よく分からない人は補足としてカタセシスあたりを調べるといい)
従って、語末を語頭並みに高くするのは、語頭を高くするよりエネルギーがかかる。
それは疲れるので、せいぜい語末を語中程度に上げる。これだと疲れない。語中程度に上げたというのは、言い換えれば「語末でも下がらない」を意味する。
これが結果的に平板に等しい。
つまり、人間の声はブレスが来るまでは右肩下がりで、\状になっている。(よく分からない人は補足としてカタセシスあたりを調べるといい)
従って、語末を語頭並みに高くするのは、語頭を高くするよりエネルギーがかかる。
それは疲れるので、せいぜい語末を語中程度に上げる。これだと疲れない。語中程度に上げたというのは、言い換えれば「語末でも下がらない」を意味する。
これが結果的に平板に等しい。
恐らく平板は、最後を上げようとしたものの、「下げない程度の努力」しかしなかった結果だと思われる。
人間の発音効率を考えると、それが合理的だ。そこで日本語やアルカも平板を採用しているのだろう。
もちろん採用しない手もあるから、フランス語のような言語もあるわけだ。
人間の発音効率を考えると、それが合理的だ。そこで日本語やアルカも平板を採用しているのだろう。
もちろん採用しない手もあるから、フランス語のような言語もあるわけだ。
平板の起こる環境
先に用語を定義をしておく。
今のところアルカには長音節、短音節、モーラがある。
このモーラを全モーラと半モーラに分けたい。着想は音楽のピアノだ。
今のところアルカには長音節、短音節、モーラがある。
このモーラを全モーラと半モーラに分けたい。着想は音楽のピアノだ。
全モーラはCVからなるもので、Cはφでもいい。つまり、a,ma,ka,taなどだ。仮にMとする。
半モーラはCのみ。s,t,kなど。仮にLとする。
なお、短音節をHとしておく。言語学とか読んでれば何となく分かると思うが、heavy,middle,lightの略だ。
半モーラはCのみ。s,t,kなど。仮にLとする。
なお、短音節をHとしておく。言語学とか読んでれば何となく分かると思うが、heavy,middle,lightの略だ。
どうも平板というのは、語末がMMのときに起こるのではないか。
verginaもartenaもHMMだ。日本語も、カレワラやアメリカなど、最後がMMだと平板化しやすい。
しやすいといったのは、桐原やアメリアなど、平板にならないものも多いからだ。
verginaもartenaもHMMだ。日本語も、カレワラやアメリカなど、最後がMMだと平板化しやすい。
しやすいといったのは、桐原やアメリアなど、平板にならないものも多いからだ。
ただ、少なくとも平板化するためには最後がMMである必要があるようだ。
とはいえ、日本語ではアニリンなど、ンで終わるものも平板化する。だがアルカではそうならない。
これは恐らく日本語ではンだけで1モーラを形成してMになれるからだろう。
とはいえ、日本語ではアニリンなど、ンで終わるものも平板化する。だがアルカではそうならない。
これは恐らく日本語ではンだけで1モーラを形成してMになれるからだろう。
3音節並べたパターン分析
日本語やラテン語ではHかLだけで分析しているようだが、アルカの場合上記の事情で、HMLの3種使って分析している。
HMLを3音節並べると、順列は27通りになる。
このすべてについて、架空の単語や実在の単語を使って、どこにアクセントが置かれるか調べてみた。
HMLを3音節並べると、順列は27通りになる。
このすべてについて、架空の単語や実在の単語を使って、どこにアクセントが置かれるか調べてみた。
汚くてすまないが、紙に書いてみた。赤の記号がアクサン。
このうち、HLL,LLH,LLM,LLLはアルカにない組み合わせ。子音の3連続はアルカにないため。(古にはあったが)
こうしてみると、Hの段、Mの段、Lの段と、9個ずつに分けられる。便宜上、1-1〜3-9と名付ける。HHHが1-1で、LLLが3-9になる。
このうち、HLL,LLH,LLM,LLLはアルカにない組み合わせ。子音の3連続はアルカにないため。(古にはあったが)
こうしてみると、Hの段、Mの段、Lの段と、9個ずつに分けられる。便宜上、1-1〜3-9と名付ける。HHHが1-1で、LLLが3-9になる。
まず言えるのは、後ろから二番目を二位とした場合、二位にHが来ればアクサンを置くということだ。
二位がHでない場合、その前の三位にアクサン。
例外はLの段。3-4,5,6はHが二位でないのに、二位にアクサンが来ている。これは直前の三位がLのため。
Lは子音だ。子音にアクサンは置けない。だからしょうがなく二位のMにアクサンを置く。
二位がHでない場合、その前の三位にアクサン。
例外はLの段。3-4,5,6はHが二位でないのに、二位にアクサンが来ている。これは直前の三位がLのため。
Lは子音だ。子音にアクサンは置けない。だからしょうがなく二位のMにアクサンを置く。
では、もしHLMHだったらどうなるか。anskitalのような。
この場合、四位のanにアクサンは移らない。やはりanskItalになる。
理由は語末から離れ過ぎているため、根本的な法則である「後ろから3モーラ」を大きく外れるためだろう。
カタカナでアンスキタルとしても、東京人はキにアクサンを打つはず。
この場合、四位のanにアクサンは移らない。やはりanskItalになる。
理由は語末から離れ過ぎているため、根本的な法則である「後ろから3モーラ」を大きく外れるためだろう。
カタカナでアンスキタルとしても、東京人はキにアクサンを打つはず。
さて、二位がHなら二位にアクサン、それ以外は三位にアクサンという法則だが、HMHとMMHは例外になる。
また、HMM,MMM,LMMは一位にアクサンが付きうるが、これは上記で述べた平板のMM条件を満たしているため。
しかし、HMHとMMHは語末がMMではないし、アクサンも二位だ。平板ではない。これはどういうことか。
また、HMM,MMM,LMMは一位にアクサンが付きうるが、これは上記で述べた平板のMM条件を満たしているため。
しかし、HMHとMMHは語末がMMではないし、アクサンも二位だ。平板ではない。これはどういうことか。
表を見ると、HかMが最初に来る段は、下にくだるほどアクサンが左にずれている。
ちょうどアクサン候補が2つある例外のHMHとMMHはアクサンが左に移行する境界線に位置している。
グレーゾーンなので移行期間になりやすく、両方のアクサンを持ちやすいということだ。
ちょうどアクサン候補が2つある例外のHMHとMMHはアクサンが左に移行する境界線に位置している。
グレーゾーンなので移行期間になりやすく、両方のアクサンを持ちやすいということだ。
まぁこの2つがグレーになるのは表の流れから自然としても、問題は両者の区別をどう付けているかだ。
例えばハーディアンとみると、Kakisさんやniasさん辺りは「ハ」にアクサンを置くだろう。僕もだ。
だが、ハーダインだと「ダ」に置いてもいいような気がしないかい。あと、ハーディガンだと「ディ」に置くような気が。
例えばハーディアンとみると、Kakisさんやniasさん辺りは「ハ」にアクサンを置くだろう。僕もだ。
だが、ハーダインだと「ダ」に置いてもいいような気がしないかい。あと、ハーディガンだと「ディ」に置くような気が。
a:hAr/di/an
b:har/dA/in
c:har/dI/gan
b:har/dA/in
c:har/dI/gan
表からするとHMHの場合、Mにアクサンを置くのが標準だ。だからb,cは自然。armalet(アルマレット)なんかもマにアクサンでしょ?
だけど、aは違う。どうも――
ai, ei, ouなどの前の母音が後ろの母音より強い二重母音 or diのあとにgaなどが続いて二重母音が起こらない場合
――には表通りb,cのようにMが強く、それ以外ではHが強いようなのだ。
だけど、aは違う。どうも――
ai, ei, ouなどの前の母音が後ろの母音より強い二重母音 or diのあとにgaなどが続いて二重母音が起こらない場合
――には表通りb,cのようにMが強く、それ以外ではHが強いようなのだ。
だから、HMHにおいても法則がなくアクサンが揺れるということはない。
きちんと上記の法則に基づいている。(少なくともアルカでは)
きちんと上記の法則に基づいている。(少なくともアルカでは)
次。もうひとつの揺れであるMMHについて。
amavel,amalisなどは最初が強い。amAlisはヘンだ。
しかしalkamalisの場合は、alkamAlisになっても良い気がする。かといってalkAmalisでもいいような気がする。
つまり、MMHの前に何かついてHMMHなどになると、二位にアクサンが置かれる場合も出てくるということだ。
amavel,amalisなどは最初が強い。amAlisはヘンだ。
しかしalkamalisの場合は、alkamAlisになっても良い気がする。かといってalkAmalisでもいいような気がする。
つまり、MMHの前に何かついてHMMHなどになると、二位にアクサンが置かれる場合も出てくるということだ。
えぇと、キルヒアイスはkil/hi/a/isだから、HMMHか。僕は二位に置くね。
でも、もしこれがキルヘイオスだったら、構造は同じkil/he/i/osなんだけど、三位に置く。
で、思ったんだが、これもhardianのときと同じで、二重母音の強い方にアクサンを置いているに過ぎない。
二重母音を防いだキルヒタイスの場合、kil/hi/ta/isとなるが、この場合二位でも三位でもどっちでもいいやという感じになる。ちなみに僕は二位だが。
でも、もしこれがキルヘイオスだったら、構造は同じkil/he/i/osなんだけど、三位に置く。
で、思ったんだが、これもhardianのときと同じで、二重母音の強い方にアクサンを置いているに過ぎない。
二重母音を防いだキルヒタイスの場合、kil/hi/ta/isとなるが、この場合二位でも三位でもどっちでもいいやという感じになる。ちなみに僕は二位だが。
平板の起こる条件
平板はMMのときに起こるが、恐らく全体として3〜5モーラのときが生じやすい。それ以上になるとアルカでは起きない。
日本語の場合、「腹いた止め」は6モーラだが平気で平板だし、「ぼうそうしょうねんどめ」なんかは果てしなく長いが平板だ。
アルカで平板が許されるのは多分3〜5モーラ。最も出てくるのは4モーラ。vergina, artena, arteaなど。
日本語の場合、「腹いた止め」は6モーラだが平気で平板だし、「ぼうそうしょうねんどめ」なんかは果てしなく長いが平板だ。
アルカで平板が許されるのは多分3〜5モーラ。最も出てくるのは4モーラ。vergina, artena, arteaなど。
表に当てるとvErgina, Artenaが標準なのだが、MMなのでverginAも許容される。
元は前者だから、アクサンを付けるなら平板のほうということになる。
元は前者だから、アクサンを付けるなら平板のほうということになる。
平板になるか否かはハッキリ言って不明だ。まったく同じ構造のarmivaだとArmivaになり、平板化しない。
よく平板化は慣れた語に起こるというが、それは日本語の話。実際armivaのほうがartenaより頻度が高いのに、平板化するのはアルテナのほうだ。
よく平板化は慣れた語に起こるというが、それは日本語の話。実際armivaのほうがartenaより頻度が高いのに、平板化するのはアルテナのほうだ。
まとめと展望
ハッキリ言ってアクサン記号をつけたくない。面倒だから。
だから法則をできるだけ現象に近付けたい。
だから法則をできるだけ現象に近付けたい。
上記の表の法則を使えば、篩えないのは「揺れ」2種と「平板」3種だけだ。
揺れのうち、HMH(hardian)は謎が解けたので、法則化できた。つまりいちいちアクサンうたなくてもいい。
MMHはAmalisが一般的だが、kilhitAisになることもありえるわけで、ここがいまいち法則化できない。
だが、kilhItaisはなにか不自然なので、頑張れば法則が見つかるかも。
揺れのうち、HMH(hardian)は謎が解けたので、法則化できた。つまりいちいちアクサンうたなくてもいい。
MMHはAmalisが一般的だが、kilhitAisになることもありえるわけで、ここがいまいち法則化できない。
だが、kilhItaisはなにか不自然なので、頑張れば法則が見つかるかも。
あと、平板についてはお手上げ。読者の中にもアルテナのルを強く言う人だっているだろう。
というわけで、MMHと平板についてアクサンを振る形になりそうだ。
だが、できればMMHは法則を見つけたい。あと、平板に法則が見つかれば神。
というわけで、MMHと平板についてアクサンを振る形になりそうだ。
だが、できればMMHは法則を見つけたい。あと、平板に法則が見つかれば神。
ちなみに今回の法則を立てるのに窪薗あたりを読んだが、どうもアルカは日本語ともラテン語とも異なるようだ。
窪薗だとこっちでいうHMHとMMHを区別できない。だからAmalisが自然でalmAlesが自然なのはなぜだろうという問いが持てない。
アルカはalmAlesについては日本的で、Amalisについてはラテン的で、要するにどっちでもないということになる。
窪薗だとこっちでいうHMHとMMHを区別できない。だからAmalisが自然でalmAlesが自然なのはなぜだろうという問いが持てない。
アルカはalmAlesについては日本的で、Amalisについてはラテン的で、要するにどっちでもないということになる。
だが、日本語やラテン語と異なるといっても、大体の読みは東京弁と同じなので、少なくとも自分には楽。
面白いことに、論文を見たり内省した結果、東京弁とアルカはラテン語に近く、関西弁に遠いということらしい。不思議だ。同じ日本語なのに。
面白いことに、論文を見たり内省した結果、東京弁とアルカはラテン語に近く、関西弁に遠いということらしい。不思議だ。同じ日本語なのに。
そういえば、古アルカのアクサンって誰がどうやって積み重ねたんだろう……?
自分が作った単語は少ないし、リディアの作った単語は第一音節にアクサンが来やすいはず。
だが、古アルカの固有名詞を見ていると、結構上記の表に従っているし、平板すら備えている。
アルマディオの古アルカのアクサンはマだ。アではない。しかし造語者はリディアだ。フィンランド語の応用ならアー!ルマディオッみたいになるはずなのに。
自分が作った単語は少ないし、リディアの作った単語は第一音節にアクサンが来やすいはず。
だが、古アルカの固有名詞を見ていると、結構上記の表に従っているし、平板すら備えている。
アルマディオの古アルカのアクサンはマだ。アではない。しかし造語者はリディアだ。フィンランド語の応用ならアー!ルマディオッみたいになるはずなのに。
おまけ
今までの話のまとめの表
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