ウチの近くに公民館があるんだけど、さっきその前を通ったら女の子の「ぴぎゃー」という泣き声がした。
振り向いたらアパートの階段の下で、3歳くらいの子が泣いてた。親が見当たらない。しかもかなり号泣。
「どうしたの?」と聞いたら、ぴぎゃぴぎゃ泣きながら説明するんだが、要約すると「この階段から落ちた」ということらしい。足が痛いと繰り返す。

「お母さんは?」と聞いたらいないという。けしからんな、こんな小さいのにと思いつつ、「家は近いの?」と聞いたら「うん」という。
「じゃあお兄ちゃん(←決しておじさんとは言わない)が家まで連れてくよ。おんぶしてあげる」と言ったが、痛くて動けない様子。足を動かすと物凄い勢いで叫ぶ。
「動かして痛いなら最悪折れてるかもなぁ……」と思い、そのままの体勢でお姫様抱っこすることにした。

そしたら別の幼女が来た。友達らしい。推測するに、このアパートの子ではないか。もともとこの子と遊んでたのでは?
結局、その友達に案内してもらうことに。その幼女はとてとて小走りすると、ときおりぴたっと止まってこちらを振り向く。そんな感じで家まで連れてってもらった。
なんか女の子は警戒してるのか、「大丈夫……」とか言って降りようとする。ぴぎゃぴぎゃ泣いてたくせに……。
「大丈夫じゃないでしょ。足怪我してるんだから、これから帰ってお母さんにお医者さん連れてってもらうんだよ」と言ったら大人しくなった。

 とりあえず道中ラポールを築くことに。
俺「名前は?」
幼女「れもん……」
 すごい……ネーミングだな。
俺「へぇ……。年は?」
れ「7」
俺「えっ!? 3くらいかと思ってたよ」
 1の娘がいるのに……。そういえば3にしては手足が長いかも。さっきはうずくまってたからよく分からなかったけど、お姫様抱っこで手足がけっこうはみだしてるから、言われてみれば……。
 それじゃあ警戒するわけだよなぁ。ふつう3くらいなら子猫みたいにガシっと抱きついてくるもんだが、7じゃもう抱かれたりしないもんなぁ。

俺「7かぁ」
れ「小学校1年だよ」
俺「あ、じゃあもしかして○○小?」
「うん」
「お兄ちゃんもそこの卒業生なんだ。だから安心していいよ」
「うん」

案内してる子は「みう」というらしい。この子も○○小で、こちらが聞くまでもなく「同じクラスだよ」などと雄弁に語ってくれた。
それにしても100mくらいなのに疲れること。横断歩道渡って左折して、中3のとき籍だけ入れてた塾で右折してすぐのアパート。
3歳くらいと思ったわけだからこの子は7歳にしては小柄なはずだが、それでもお姫様抱っこは手が疲れる。こちとら荷物もあるしな。
多分、持ち方のせいだろう。脚を触ると痛がるので、左手で首から背中を支え、右手はふとももの裏側から股にかけて挿しいれ、尻を支える感じ。脚がぷらーんと下に落ちるので、その結果余計重たくなる。

どうにか到着。腕痛い。母親と対面した瞬間、幼女ふたたび号泣。で、奥さんに事情を説明。医者連れてってくださいと言っといたが、はたしてちゃんと連れていくかどうか……。
「お名前は?お礼をしますので」とセザールのCMみたいなことを言われたが、「いえ、大丈夫です。それに、すぐそこの者ですから」と言って帰った。
大丈夫かな。