アトラスの国際音声字母

アトラスのIPAに当たるもの。
現実にはセレンが20年に定めた。神話上ではアルディアでセレンが定めた。
制以降と古アルカの幻字を使い、古アルカに存在しない音声は鏡像などを駆使して配置した。

今回掲載するものは、セレンの制定したもののうち、IPAの93年改訂版にリストアップされているものを抽出した表である。
音声記号はその気になればいくらでも細かく作れるため、実用ベースに乗せるため、ガイドラインを設けたというわけである。
実用ベースで考え、今回は補助記号等を設けなかった。

元々存在する幻字を見れば、「この音は古アルカにはあったのだな」ということが分かるため、非常に個別言語的な音声表記になっている。
IPAを定める際はハングルのように調音点などを考慮して機械的に決める方法が体系的である。
しかし機械的すぎるものはかえって使いにくく見間違いやすいという欠点もある。
何よりその方針はアルカに合わない。そのため、労力はかかるものの、今回のような言語・文化・歴史を背景にした音声表記を作った。

母音


以下が母音字である。


字形の説明については下記の通りである。

制以降にある母音a, i, o, e, uについては、それらが示す最も近い位置に配置してある。
それ以外の音声で、古アルカにあった音声は古アルカの当該の文字を当てている。

狭いiは「目」のiであり、単音なので音が伸び、イーと発音され、狭いイで発音された。
その円唇のyは異音として古に存在したもので、yunkなどに見られたため、yunkの字を当てる。
ただし字形が冗長なため、中の十字の部分だけ抽出する。

広いiは制以降のiである。
その円唇はunus(斬首)やmun(様子)に使われた異音である。munの字が複雑なのでunusを取った。
unusの下の短い縦棒は冗長かと思うが、元々あまり使う音ではないのと、できるだけ後述のoの音と区別したいために残してある。

狭いeは「左」のeであり、「目」のi同様、狭いエーで発音された。
その円唇はteoの二重母音で見られた音で、eの異音としても使われた。この音はteoの字で示す。
若干斜体にして書いてもよい。

広いeは制のものである。
その円唇はkeaの二重母音中に現れる音である。
keaの字から冗長さを省くために斜線を取り去る。

appleなどに使うaeの音はe an(私の)が短くなったエァンという単語に現れた。
eはkenoの文字と等しいので、kenoの字をあてがう。

前舌のaは制のaであるが、デザインは筆記体から取った。
その円唇は古にも存在しない音であるため、aの鏡像をあてがう。

奥舌のaはaa(腰)などに使われた音で、aaの文字を基にしている。
aaの文字は)(のような字形で、幻字で読むとoiに見えがちである。
そこで線を交差させてxのようにした。
その円唇は古アルカにはないため、xの鏡像にした。
鏡像で形が違うよう、単なるxではなく、片方の線を曲線にしてある。

広いoは制のoである。
その非円唇は古アルカにはない。
(現実には英語を併用していた時代だったので、cutなどに使われ、皆習得はしていた)
アルバザード人にとって呟きのアに近い音であるため、擬声語a, aaの字を基に字形を定めた。
垂れの中にxivが入っており、xivの中のN字形のものを選んだ。

狭いoは距離のoなどに使われた。
その非円唇は古アルカには存在しないため、oの鏡像とする。

uは制のものである。
アルカは伝統的にuの丸めが弱いので、しばしば非円唇に近い音になる。
だが、これは音声表記としてのuなので、この音声記号自体はきちんと円唇にする。
これの非円唇は古アルカに異音として存在し、atuのように短くアクセントのないuや、luutoのようにuuでもアクセントのない部分に用いられた。
(ただし厳密にはluutoは円唇で発音するものもあった)
字形が単純なため、音声記号にはluutoを用いる。

中舌は伝統的にアルカにはない。
ただしシュワーは除く。これは制通りの文字である。
それを広くしたシュワーはaeの音を指すkenoの鏡像である。

これらふたつのシュワーの間にある母音が広いeをひっくり返したものである。uと区別すること。
そしてその円唇は広いoを∩状にしたものである。

シュワーの上に来る半狭の中舌は狭いeをひっくり返したものである。
その円唇は距離のoをひっくり返したものである。

狭い中舌はiをひっくり返したものである。
その円唇はuをひっくり返したものである。

最後に、広いiを奥舌にしたものがluutoをひっくり返したものである。

●鼻母音

鼻母音は~を母音の上に付けて示す。
実はこの決定には迷いがあった。なるべく地球のIPAと同じにしたくないので、ヘッダは避けたかった。
しかし○だと潰れやすいし、横棒や斜線だとアクサンと区別がつかない。ウムラウト記号は2画で冗長。
そこで手軽な線でと考えると、IPAに関係なくヘッダが適切ということになった。

子音


同様に以下が子音である。


制以降の幻字と同じものは説明を省く。
母音と同じく制以降にあるものは最優先。古にあった音声は古幻字を使う。それ以外は鏡像や○や棒などの記号と合わせて表現する。
ゆえに、母音と同じくアルカという個別言語を基にした文化背景およびアプリオリ性の高い音声記号になっている。

横棒を入れると調音点が後ろにずれるようになっている。
左上から順に説明する。まずは破裂音。

・破裂音

そり舌は歯茎音に横棒を入れたものになっている。
以下そり舌は同様なので省く。

硬口蓋は摩擦音のそれに∩状の線を加えたもの。

口蓋垂はk,gの調音点を横棒でずらしたもの。

声門音は・(nと読み、沈黙の意味)と|(monoと読み、止めるの意味)を合わせたもので、グロッタルストップを示す。

・鼻音

唇歯はninf(段)から。nfの部分にこの音が現れた。

硬口蓋は摩擦音のそれと、鼻音のnを合わせたもの。

軟口蓋は古のtinkaaなどに現れた音で、tinkaaの「水」みたいな字形にnを合わせたもの。

口蓋垂は古nn(なにかorする)や古n(沈黙)などに現れた音で、前者の文字をそのまま使っている。

・ふるえ

両唇はbeo, ben(クソ)の卑音から。
非常に強い音で、強調時にのみ現れた古の音声。

口蓋垂はうがいのオノマトペとして古に見られた音で、音韻でもあった。ドイツ語のrに当たる音である。
今でいうaga(うがい)のgの部分がもともとこの音だったが、agaは3段の古幻字なので、そのままだと形が複雑すぎる。
そこで垂れの部分と声を示す横棒を基に、Fのような字形にした。

・摩擦

両唇無声はyots, fots(解放)に現れた古の音韻。fotsのfの部分がこの摩擦音。
有声のほうはvigyu(厳しい)のvの部分に使われた古の音韻。
古ではvigyuがその後bultaに変化しているが、viとbuの部分は同じ語幹であり、どちらも本来はこの有声両唇音である。
母音との区別に注意。形が少し違う。
vigyuのviはvivi(強い)ではないだろうか。とするとviviのvもこの音だった可能性が高い。

無声硬口蓋はkahi(罪)に使われた。
『アルカ』の音韻ではヒの音は挙がっていない。hanの音韻の異音としてカウントされていたようである。
その有声は鏡像で示す。

有声軟口蓋はwaho(小手)から。この音はyaho(鎧)などにも使われた。
アクセントはどちらもhoにある。
口蓋垂はこれらを後ろにずらしたもの。

咽頭は無声と有声を合わせると古のgag(喉)の文字になる。
ちょうど鏡像で扱いやすい。

有声声門はnyohe(弱い)から来ている。
古の音韻ではないが、20年現在セレンが発音してみると、どうもnyoheというときにこの音を使うようである。

・接近

接近は当該の調音点の摩擦音に○を加えて示す。
例えば唇歯はvに○を加えたもの。

・側面

接近のみ抽出。

そり舌は母音のyと区別するよう注意。tのように横棒が上寄りで、背が高い。

硬口蓋はxal, xalul(経験)のxalulの部分。
古の音韻で、uのような奥寄りの母音の後に来ると現れやすい。
kulなどと発音すると、比較的この音になりやすい。

軟口蓋はそれに横棒を入れて後ろにしたもの。
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