新生が採択された理由を明確にした。
・アルディアのアルカ革命
アルディアになると互いに意思疎通ができない程度に言語が変化していた。
アルディアでは神は神代アルカを、人類はアルバザード語など、それぞれの国の言語を使っていた。
アルバザード語は古代リュディア語を基にできた言語で、リュディア人は祖であるガルヴェーユ人と近い人種であることから、言語自体も神代アルカと近かった。
かといってアルバザード語は神代アルカと様々な点で異なっていた。
むろんルティア語も別言語になっていた。
アルディアでは神は神代アルカを、人類はアルバザード語など、それぞれの国の言語を使っていた。
アルバザード語は古代リュディア語を基にできた言語で、リュディア人は祖であるガルヴェーユ人と近い人種であることから、言語自体も神代アルカと近かった。
かといってアルバザード語は神代アルカと様々な点で異なっていた。
むろんルティア語も別言語になっていた。
アシェットのセレンは使徒を集めていったが、各人が土着の言葉を話すせいで、意思疎通が困難になっていた。
このときのアトラスの共通語は神代アルカであり、地球の中世でいうラテン語に相当する。
ところが人々の神代アルカの質は悪く、神からすれば「日本人が中国人の日本語を聞いたとき」のような違和感を感じていた。
また、教育を受けた者しか話せないという問題もあった。高学歴ほど神代アルカの出来がよく、召喚士は特に出来がよかった。
召喚士は神と接する機会が多いため神代アルカが流暢で、召喚士試験に合格してから職にあぶれても、神代アルカの語学学校で身を立てることができた。
このときのアトラスの共通語は神代アルカであり、地球の中世でいうラテン語に相当する。
ところが人々の神代アルカの質は悪く、神からすれば「日本人が中国人の日本語を聞いたとき」のような違和感を感じていた。
また、教育を受けた者しか話せないという問題もあった。高学歴ほど神代アルカの出来がよく、召喚士は特に出来がよかった。
召喚士は神と接する機会が多いため神代アルカが流暢で、召喚士試験に合格してから職にあぶれても、神代アルカの語学学校で身を立てることができた。
さて、このときアシェットはまだアルシェとソーンに分かれていた。
アルシェの使徒は古代レスティル・ルカリア・アルディアル人が多かった。
一方、ソーンの使徒は古代スカルディア・メディアン・ハルバナ人が多かった。
元を正せば多くがリュディア人であるが、長い年月の間で彼らは互いに異なる文化と言語を発展させていたため、特にアルシェ・ソーン間での意思疎通は満足でなかった。
アルシェの使徒は古代レスティル・ルカリア・アルディアル人が多かった。
一方、ソーンの使徒は古代スカルディア・メディアン・ハルバナ人が多かった。
元を正せば多くがリュディア人であるが、長い年月の間で彼らは互いに異なる文化と言語を発展させていたため、特にアルシェ・ソーン間での意思疎通は満足でなかった。
結果、アルシェの中では共通語として神代アルカ(古代ガルヴェーユ語とほぼ同じ)から派生した古代ルカリア語が用いられた。
なお、南部ルカリア語はそのままアルバザード語に通じる言語で、元々この言語を喋れるリディア・オヴィ・クリスなどの古参の使徒は不自由を感じなかった。
なお、南部ルカリア語はそのままアルバザード語に通じる言語で、元々この言語を喋れるリディア・オヴィ・クリスなどの古参の使徒は不自由を感じなかった。
一方、ソーンはクミールが元々フィガン人であるため、古代メディアン語が共通語となった。
ソーンはインサール出身のものが多く、インサール最大の国家はメディアンであるから、これは自然なことだった。
ソーンはインサール出身のものが多く、インサール最大の国家はメディアンであるから、これは自然なことだった。
東メディアンすなわち現フィガンは声調を持つ言語と持たない言語が混在しており、特に現ヴェマに近い地域は声調を持たないものが多かった。
クミールはフィガン北部の生まれなので、声調を持たない言語を使っていた。
このため、厳密に言えば、ソーン内では声調のない北部フィガン語が共通語となった。
クミールはフィガン北部の生まれなので、声調を持たない言語を使っていた。
このため、厳密に言えば、ソーン内では声調のない北部フィガン語が共通語となった。
しかし北部フィガンの出身者はほかになく、フィガン自体小さな国であったため、ルカリア語のようにすぐ共通語として使えるわけではなかった。
そこで各々の使徒の言語が流入し、ピジン化した。このため、クミールがアルシェを離反した後は、アルシェはピジン化した「ソーン語」を理解できなくなった。
メルのみクミールと懇意にしていたため、これを理解することができた。
そこで各々の使徒の言語が流入し、ピジン化した。このため、クミールがアルシェを離反した後は、アルシェはピジン化した「ソーン語」を理解できなくなった。
メルのみクミールと懇意にしていたため、これを理解することができた。
メル11年にアルシェとソーンが和平してアシェットができると、アルシェの共通ルカリア語とソーンのソーン語が互いに理解できないという問題が発生した。
そこでリーザが28人の使徒に覚えやすいまったく新しい言語を、これら2つのアルカを参考に作ろうとした。
リーザはセレンに白羽の矢を立て、彼に作業を依頼した。彼は受諾し、12年から作成を始めた。
そこでリーザが28人の使徒に覚えやすいまったく新しい言語を、これら2つのアルカを参考に作ろうとした。
リーザはセレンに白羽の矢を立て、彼に作業を依頼した。彼は受諾し、12年から作成を始めた。
一方、神々はこのころ人類と結託してテームスを倒す必要性を感じており(神を説得したのはリディア)、アトラス全土またアルフィ全土に共通する言語を欲した。
結託してテームスを倒すにはまずコミュニケーションが必要だからである。
それには神代アルカへの回帰が考えられたが、時期を同じくして起こった制アルカに神々は非常に興味を示し、制アルカをアトラスとアルフィの共通語として採択しようと考えた。
セレンは一大プロジェクトとなった制アルカを作り込み、国防の傍ら言語を作り続けた。
結託してテームスを倒すにはまずコミュニケーションが必要だからである。
それには神代アルカへの回帰が考えられたが、時期を同じくして起こった制アルカに神々は非常に興味を示し、制アルカをアトラスとアルフィの共通語として採択しようと考えた。
セレンは一大プロジェクトとなった制アルカを作り込み、国防の傍ら言語を作り続けた。
まずセレンはアシェット内で制アルカを広めた。
使徒ははじめこれを快調に習得し、使用した。
しかし慣れてくるに従って慎重に一語一語考えながら言葉を発することが少なくなる。
結果、n対語を聞き間違えたり言い間違えたりするミスが頻発するようになった。
使徒ははじめこれを快調に習得し、使用した。
しかし慣れてくるに従って慎重に一語一語考えながら言葉を発することが少なくなる。
結果、n対語を聞き間違えたり言い間違えたりするミスが頻発するようになった。
特にソーンのエンナが難聴のため、n対語を間違えやすいという問題が起こっていた。
そこでクミールは秘密裏にソーンの中でだけn対語を崩壊させていた。
メル18年にそのことがリディアに発覚し、彼女は激怒した。
しかしクミールの「制アルカは慣れるほどかえって現実的な使用に耐えない」という発言を受けたセレンが制アルカを棄却し、新生アルカとして作り直すことにした。
そこでクミールは秘密裏にソーンの中でだけn対語を崩壊させていた。
メル18年にそのことがリディアに発覚し、彼女は激怒した。
しかしクミールの「制アルカは慣れるほどかえって現実的な使用に耐えない」という発言を受けたセレンが制アルカを棄却し、新生アルカとして作り直すことにした。
これを知った神は大きく落胆し、人工言語への熱が冷め、共通語としてやはり神代アルカを人類に広めようという考えに戻った。
まったくのゼロから言語を人々に学ばせるなら、拙い彼らの神代アルカを再教育したほうがよいと考えた。
難しいので地球に喩えると、エスペラントをゼロから学ばせるよりもラテン語を再教育するという方針を採ったわけである。
まったくのゼロから言語を人々に学ばせるなら、拙い彼らの神代アルカを再教育したほうがよいと考えた。
難しいので地球に喩えると、エスペラントをゼロから学ばせるよりもラテン語を再教育するという方針を採ったわけである。
ところがセレンとリディアは神々のこの方針に否定的だった。
とはいえ、神を説得する材料を彼らは十分に持っていなかった。
だが彼らは諦めなかった。セレンは新生アルカを作り続け、リディアはそれを支え、研究し続けた。
とはいえ、神を説得する材料を彼らは十分に持っていなかった。
だが彼らは諦めなかった。セレンは新生アルカを作り続け、リディアはそれを支え、研究し続けた。
するとリディアがある面白い現象を発見した。
エルトとサールが神代アルカを作ったときに触れたが、概念にはそれがそう呼ばれるべき名前エーステがある。
エーステを正しく言い当てれば、呪文は効力を増す。だからこそアルカは神の言語であり、魔法の言葉でもある。
エーステを聞く能力のない人類たちは次々に認知に基づく造語をしたせいで、時間をかけて徐々に呪文力を失っていった。
エルトとサールが神代アルカを作ったときに触れたが、概念にはそれがそう呼ばれるべき名前エーステがある。
エーステを正しく言い当てれば、呪文は効力を増す。だからこそアルカは神の言語であり、魔法の言葉でもある。
エーステを聞く能力のない人類たちは次々に認知に基づく造語をしたせいで、時間をかけて徐々に呪文力を失っていった。
偉大な魔導師であったリディアは、言葉がどれだけの効力を返すか測定した。
例えば「空」という概念のエーステはjinaであるはずだが、これをjonaやjineに変えるとどの程度エーステから離れるか、それによってどの程度言葉が返す呪文力が増減するかを測定した。
その結果、ルカリア語やアルバザード語はもちろんのこと、神代アルカすらエーステを100%反映していないという数値が得られた。
例えば「空」という概念のエーステはjinaであるはずだが、これをjonaやjineに変えるとどの程度エーステから離れるか、それによってどの程度言葉が返す呪文力が増減するかを測定した。
その結果、ルカリア語やアルバザード語はもちろんのこと、神代アルカすらエーステを100%反映していないという数値が得られた。
この実験結果に神々は騒然となった。
エルトとサールが作った神代アルカまでもがエーステを反映しきれていないとは信じられなかったからである。
リディアは研究を続け、なぜ現在の神代アルカがエーステを完全に反映しきれていないかを調査した。
エルトとサールが作った神代アルカまでもがエーステを反映しきれていないとは信じられなかったからである。
リディアは研究を続け、なぜ現在の神代アルカがエーステを完全に反映しきれていないかを調査した。
彼女はリュウとメルに協力を依頼し、アトラスに降り注ぐ6500万年前の光を観測した。
そして6500万年前の光にpaalという言葉を呪文として投げかけた。これに対しエーステは100%反映されて帰ってきた。
paalは神代アルカで「光」という意味であるから、きちんと概念の名前を表現していることになる。
次にリディアは部屋の窓から差し込む光線にpaalを投げかけたところ、エーステの反映率が80%程度に低減していた。
この結果を元に推論した結果、神代アルカができてから6500万年という長い時間が経ったせいで、概念自体のエーステが現代では少し変わってきているのではないかということをリディアは発見した。
そして6500万年前の光にpaalという言葉を呪文として投げかけた。これに対しエーステは100%反映されて帰ってきた。
paalは神代アルカで「光」という意味であるから、きちんと概念の名前を表現していることになる。
次にリディアは部屋の窓から差し込む光線にpaalを投げかけたところ、エーステの反映率が80%程度に低減していた。
この結果を元に推論した結果、神代アルカができてから6500万年という長い時間が経ったせいで、概念自体のエーステが現代では少し変わってきているのではないかということをリディアは発見した。
神はこの実験結果に驚きを隠せなかった(人類が知能で神を凌駕した瞬間)。
リディアは「光」の持つエーステをpaalという音を変えながら何度も調査した結果、paalというエーステは既にfarに変化していることを発見した。
概念の中にはエーステが変化しているものや、維持しているものがあり、非常にカオスな状態であった。
神はこの結果を受け、「新生アルカが現在のエーステを反映し、呪文の効力を上昇させるものであれば、神代アルカでなくこれを普及すべきと考える」と述べた。
エーステの反映率がよい言語を使えば、同じ人間がより強力な魔法を放つことができるからである。人工言語熱への回帰である。
これを受けてセレンはリディアらの助けのもと、新生アルカを作りだした。
リディアは「光」の持つエーステをpaalという音を変えながら何度も調査した結果、paalというエーステは既にfarに変化していることを発見した。
概念の中にはエーステが変化しているものや、維持しているものがあり、非常にカオスな状態であった。
神はこの結果を受け、「新生アルカが現在のエーステを反映し、呪文の効力を上昇させるものであれば、神代アルカでなくこれを普及すべきと考える」と述べた。
エーステの反映率がよい言語を使えば、同じ人間がより強力な魔法を放つことができるからである。人工言語熱への回帰である。
これを受けてセレンはリディアらの助けのもと、新生アルカを作りだした。
セレンはすべての概念のエーステの反映率を100%にするという単純作業だけでなく、世界に普及させることを見越してメルテーブルのような記憶術を言語に盛り込んだ。
名前の通り、これはメルが発明したものである。
メルテーブルもできるだけエーステを反映したもののみ採用することになった。
当初のセレンの案ではエーステを反映しないものが多かったため、メルテーブルの多くが削除された。
エーステは1概念に1つだが、エーステと類似した音なら反映率が高いという性質がある。
例えばfaanに対するfiimはメルテーブルとして許容された。怠けるという概念が持つエーステがfiimという音を許容したためである。
そこでこのようなメルテーブルは残された。
名前の通り、これはメルが発明したものである。
メルテーブルもできるだけエーステを反映したもののみ採用することになった。
当初のセレンの案ではエーステを反映しないものが多かったため、メルテーブルの多くが削除された。
エーステは1概念に1つだが、エーステと類似した音なら反映率が高いという性質がある。
例えばfaanに対するfiimはメルテーブルとして許容された。怠けるという概念が持つエーステがfiimという音を許容したためである。
そこでこのようなメルテーブルは残された。
メル21年、新生アルカが安定したことを受け、神々はエリス神を使って新生アルカをアトラス全土に広め、人々に学習させた。
しかし対応できない老人や、思想的に反対するものがおり、一枚岩にはならなかった。
しかし対応できない老人や、思想的に反対するものがおり、一枚岩にはならなかった。
メル25年、アシェットはテームスの暴発の兆候を観測。アトラス全土に緊急警報を発令。テームスの暴発は強力な衝撃波となってアトラスに降り注ぐものと算定された。
だが衝撃波はセレスを持つ者にしか作用しないと分析され、からくもアトラスの破壊は免れた。しかし人類には有効で、アシェットは各国から対策を求められた。
アシェットは神々と協議し、神の加護を要請した。衝撃波はアルフィには向かわないためである。
神はこれを受け入れたが、加護だけでは防ぎきれないと主張した。防壁の作成には人類自身の多量のヴィルが必要と説いた。すなわち祈りの力である。
だが衝撃波はセレスを持つ者にしか作用しないと分析され、からくもアトラスの破壊は免れた。しかし人類には有効で、アシェットは各国から対策を求められた。
アシェットは神々と協議し、神の加護を要請した。衝撃波はアルフィには向かわないためである。
神はこれを受け入れたが、加護だけでは防ぎきれないと主張した。防壁の作成には人類自身の多量のヴィルが必要と説いた。すなわち祈りの力である。
その祈りは防壁の魔法に等しいが、当然その魔法にも呪文がある。
となると問題はそれを何語で書くかである。
強力な防壁で人々は自分たちの身を守らねばならない。従って、より効果のある呪文が必要とされた。
そこでかねてよりの計画通り、新生アルカが選ばれた。
となると問題はそれを何語で書くかである。
強力な防壁で人々は自分たちの身を守らねばならない。従って、より効果のある呪文が必要とされた。
そこでかねてよりの計画通り、新生アルカが選ばれた。
テームスの衝撃波を緩和する呪文は暴発寸前のテームスの観測を待たないとできあがらない。
呪文は暴発の寸前にエリス神を通じて世界中に報道される。
このとき、人々は表示された新生アルカで祈りを唱え、神にヴィルを提供するとともに防壁を作る。
祈りは当然本人が意味を理解していないと成立しない。心のこもっていない「すみませんでした」では無意味というのと同じことである。
これが何を意味するかというと、国民は暴発までの3年で新生を習得しておかねばならないということだった。
アシェットがこれをアトラスに報道すると、多くの人々が新生を共通語として法律に盛り込み、新生アルカの語学学校をたくさん建て、習得を促した。
このとき、セレンらの子供たちは唯一のネイティブとしてもてはやされ、言葉の賢しいルシアは幼女先生と呼ばれるようになった。
呪文は暴発の寸前にエリス神を通じて世界中に報道される。
このとき、人々は表示された新生アルカで祈りを唱え、神にヴィルを提供するとともに防壁を作る。
祈りは当然本人が意味を理解していないと成立しない。心のこもっていない「すみませんでした」では無意味というのと同じことである。
これが何を意味するかというと、国民は暴発までの3年で新生を習得しておかねばならないということだった。
アシェットがこれをアトラスに報道すると、多くの人々が新生を共通語として法律に盛り込み、新生アルカの語学学校をたくさん建て、習得を促した。
このとき、セレンらの子供たちは唯一のネイティブとしてもてはやされ、言葉の賢しいルシアは幼女先生と呼ばれるようになった。
メル28年、リュウは研究の結果、テームスの暴発を観測し、このデータを用いて大魔導師リディアが「反衝」の呪文を作成した。
アシェットが呪文を作って報道したと同時に衝撃波が発生。
呪文を唱えられた者は神の加護で防壁が増強され、生き延びることができた。
習得できなかったものはこの時点でテームスに殺されてしまった。
こうして時代は完全に神代アルカから新生へと変わった。
アシェットが呪文を作って報道したと同時に衝撃波が発生。
呪文を唱えられた者は神の加護で防壁が増強され、生き延びることができた。
習得できなかったものはこの時点でテームスに殺されてしまった。
こうして時代は完全に神代アルカから新生へと変わった。