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・フィンランド語

――をやってみたのだが。
といっても今日は休み時間があまり取れなかったので10分程度。
ざっとウィキとかを読んでみた。特に難しいことはないなと思った。

子音の階梯というのを見たとき、「発音を簡単にする仕組みなんだろうな。音はptkか。どれも頻度の高い無声閉鎖音で、アルカの時相詞にも選ばれた音だな」などと思った。こういう認識があると、階梯を見たときもスッと理解できる。
大学のころフィンランドをかじろうとしたとき、階梯というのが何のためにあるのかイミフで理解できず、フィンを断念した過去がある。
でも今は制アルカを作った後なので、言語のコツがつかめたのか、苦労なく飲み込める(っぽい)。

格についても同様。「彼は笑う」をフィンランド語では「彼を笑わせる」と表現するそうだ。
これは制アルカやフランス語を知っていれば分かりやすい。
特にアルカを知っていると、la nax nosのことだと分かる。アルカの場合、対格が重複とみなされnosになる。でもフィンランド語では主格がどうでもいい四人称と見なされるということだろう。フィンランド語はel nax laと表現しているわけだ。で、elというのはどうでもいい四人称なので省略されて、nax laとなる。

で、この後、初めてアルカとフィンランド語の違いが出る。
フィンには格があるので、nax laとはいえない。語尾を曲用して対格にする必要がある。アルカでいうとnax layulのような感じだ。フィンの場合、laは単独では使えない。常にlayulでないといけない。

はい、ここで認知理論の登場。「彼は笑う」という文で最も焦点化されるのは彼。従って、彼が文頭に来るべき。となると、nax layulではヘン。そこで、layul naxにするわけだ。
layul naxにできるのは、フィンだから。フィンには格があるからこのような統語操作ができるし、認知的にも自然なのだ。
じゃあアルカでは?できないにゃ。だってlaはいちいち格を持たないから。だからアルカではel nax laではなく、la nax nosの構造を取る。
なんでって?だってla nax nosならnosを省略してla naxにし、焦点化されるlaは文頭を維持できる。でも、el nax laだとそうはいかないから。nax laだと認知的に不自然だし、el naxだと誰が笑ったのか不明。

それで、フィンでは「彼を笑わせる」のように「対格が主語になるおかしい文」が出てくるんだなということが理解できる。もしこういう背景がないまま「目的語が主語になることがありますよ」と読んでしまったら、とたんにフィン語はカオスな言語に聞こえるでしょう?
で、こういう感覚は、言語を作った人は、大なり小なり持っている(と信じたい)。
だからフィンランド語の「へんな」文法を見たときでも、すぐ構造を理解することができる。
「あぁ、再帰動詞なんだけど、主格が四人称になって対格が前に上ってくるのね。フィンでは対格は常に現す必要があるからこそできる表現だね」
――と一瞬で判断できるため、こういう人はどんな言語をやろうとも、すぐ適応できる(と思う……)。

自慢スマソ。でもここにいる人は自慢とは取らず、共感で取ってくれるんじゃないかと密かに期待しています。
要するに、言いたいのは、人工言語にも少しはいいところがあるんで、長い目で見れば語ヲタには好ましいツールですよ、ということです。