あら、この紅茶おいしいわね。


私の国アルバザードは紅茶文化なんです。
これはアリディアという国から輸入しているお茶で、ミルクと合いますよ。ミルクもどうぞ。


ところでレイン君に質問があるのだが、君の世界は我々のものとどの程度違うのだ?


神と魔法が存在すること以外は、ここと変わらないですよ。リアルに作りこまれていますからね。
私の住んでいる世界はアトラスといいますが、地球と異なる点を探すほうが難しいくらいです。
ちなみに、私の時代は既に神と魔法が無いも同然なので、ハッキリ言って私と紫苑の生活環境はほとんど変わりません。
ただ、アルバザードのほうが現在の日本より科学的に発展しています。


アルバ……ザード。変わった名前。
そもそもアトラスってどんなところなの?地球と似ているって言ってたけど、イメージが湧かなくて……。


リディアちゃん、アトラスの世界地図見る?

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わ、これがそうなんだ!?
ほんとだ……確かに地球に似てるね。
でも、やっぱり地球ではないみたい……。


なるほど、これは面白い。となると、架空は架空でも、君の時代はほぼリアルな世界になっているわけだね。
リアル異世界ファンタジーとでも呼ぶべきか……。面白い分野ではあるな。
なら、君の世界でひとつの国際語が広まった結果、言葉の壁は消え、差別はなくなったのだろうか。


うーん……難しいですね。少なくとも惑星アトラスでは国際語ができた後も争いは絶えませんでした。
それに、アトラスではアルカができてからもう300年以上経ってますから、地方ごとに方言が発達しています。


レインはこの左上の……フランスにあたるところに住んでいます。ここがアルバザードです。
一方、この地図の右側、カナダに当たるところがルティアという国です。
アルバザードとルティアではずいぶん発音が変わっていて、私が聞く分にはルティア語は理解できません。


ふむ、やはりな。
いや、実は私も国際語だけでは差別は取り除けないと考えていたのだ。
だからレイン君の話には首肯できる。


ザメンホフさんは晩年、言語を越えた平和研究をなさっていたそうですね。やはり私も言語だけでは差別は根絶できないと思います。
それでも人類史として見ると、ザメンホフさんの偉業は歴史に残るものだと思います。


偉業……か。
残念ながら、私は人工言語史の中では始点ではないし、終点でもないのだよ。


え……おとーさん、それってどういう意味?

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