・diaklel(幻幻辞典)の大方針

・時代

幻幻辞典は世界が終末を迎えるメル480年に、アルバザード国召喚省が発行したものに設定する。
アレイユのだと、それより未来のランジュの単語が入らないため。

・記述言語

480年のarbaleiを用いる。

・文字コード

アトラスで地球のような魔法を使わないコンピュータができたのはアルディア以降で、アルカが既に存在した時代である。
アルカはアルバレンなどと異なり、表音文字で文字数が少ない。

よってアルバザードでも地球と同じくASCIIコードのような7ビット文字が存在した。
しかし近隣諸国はそうでないため、拡張文字を作らざるをえなかった。
従ってアトラスでも文字コードは複数存在する。
各国がそれぞれコードを作ったため、文字化けの問題も存在する。

diaklelは国定辞書であるため、データの汎用性を考え、絶対に文字化けしない7ビット文字を用いた。
幻字と数少ない約物のみである。

・辞典か事典か

国定辞書はあらゆるものを記述する膨大な辞書をコンセプトとしている。
国定辞書は規範として存在しなければならないため、あらゆる範囲をカバーしている必要性があるからである。

従って、辞典だけでなく事典も兼ねる。
人名などの固有名詞もふんだんに盛り込まれることになり、この点でOEDのカバーする範囲を凌駕する。
また、同時にシソーラスも兼ね、語源辞典も兼ねる。語源の詳細さはOEDを抜き、語源辞典に匹敵する。
従って1語を作る労力は相当なものになろう。百科事典も兼ねることを考えれば、通常の国語辞典の数倍〜10倍はあろう。

辞典の種類は徹底した記述主義で、規範主義ではない。
アルバザード国政府は国定辞書に「正しい国語」ではなく「史実に基づく言語観察」を求めた。
これはその年ごとの召喚省の意思が言語に入り込むのを良しとしなかったためで、召喚省は言語に対し最大限客観的であるべしとされたためである。

もし召喚省のプロパガンダが辞書に入れば、言語が政治に利用されることになる。
有史以来言語を呪文として重視してきたユーマの一族は、歴史的に見て言語の政治的利用を厳しく拒絶してきた。
よって例文は現実に使われたものを選び、召喚省の創作文は含まない。
ふと思ったんだが、正史のほうのレイン=ユティアには召喚省に入ってもらい、辞書科の編集者にさせてはどうかと思う。

・民間辞書

diaklelはアルカのあらゆる側面を記述する。
そのせいで記述は専門的で難しく、語義も歴史的な順序で並ぶ。
ここに民間の付け入る隙がある。

国定辞書は国民には規範にはなるが、使いにくい。
よってラーナーズ辞書や、子供用辞書や、家庭用辞書などが並ぶこととなる。
しかし日銀と地銀のようなもので、結局これらの辞書も国定辞書の内容を見て編集されたものにすぎない。
よって作者として必要なのは国定辞書で、国定辞書を作れば大は小を兼ねるの理屈で包括的に創作したことになる。

簡単にいえば国定辞書は幻幻辞典の親分なので、これを作っておけば、後はそのヴァリアントでしかない。
ただ、国定辞書を使うには非常に高度な知能と知識を要する。
ネイティブのアルバザード人ですら難しくて読めないものを、サイトで公開したら地球人が読むことになるのだ。
現実的には幻日辞典や幻英辞典の需要は残るだろう。