・アルバザード語(アルバレン)

メル・アルカと新生古アルカがベース。メインは後者。
もともと新生古アルカがこのアルバザードに当たるものを想定したものだった。

文字


フォルマができ、国民の識字率が上がり、社会の安定とあいまって文学も華やいだ。
しかし保守派の文人からは簡便なフォルマには反対意見もあり、無教養の表れと叩かれた。
穏健なエヴァンジュ王はそうした批判を弾圧することなく、国民に判断を委ねた。

forma

[言語]フォルマ
20:fo/hacma
[文化]
アルバザード王のエヴァンジュが学生の、ひいては国民の識字率を上げるために開発した表音文字。
アルバザードにおいて初めての表音文字で、セレンはこれをヒントにアルカの幻字を作った。

フォルマはハーディアン語の表音文字が元になっており、それをアルバザード語に使用できるようにしたものである。
文字はCVの音価を持ち、意味は持たない。これにCのみを指す文字を加え、さらに全文字の字形を崩して簡略化したものがformaである。

セレン青年の幻字は音素そのものを指す文字で、フォルマをさらに細分化したものともいえる。
物によってはセレンの幻字よりフォルマのほうが書くのが早いこともあるが、アルバザード語は単独のCが多いため、たいてい形が全体的に簡単な幻字のほうが早い。

フォルマは学校教育を通じて国民に普及され、ヴレヴラント王のころには、つまりアシェットが活躍したころには完全に普及していた。
そのためアルシェ時代のセレン少年らは仲間の言葉や自分たちのピジン的な隠語を記した『制定語彙』などに記した幻字の読みをフォルマで表記した。
日常においては表意文字を使わずフォルマだけで文を書くこともあり、特にオノマトペやリディアの開発したpiyokokkoなどはフォルマで綴られた。

アルディアのころはちょうど表音文字への過渡期で、日本語の漢字かな混じりの状態に近いものがあった。
その気になればすべてフォルマで書くこともできた。しかし公式、特に魔法においては表意幻字が用いられた。


語順


SVOで固定し、格の屈折が消滅。

Vは符や時場が付くのでほかと区別される。
SO以外の格は前置詞が付くのでほかと区別される。

SVOの語順を崩す場合は格が表示される。
しかしアルカと異なり、格が付くのはOのみ。

lsの主格・対格表示が消滅してからできた造語なので、屈折ではなくほかの格と同じように前置詞で示された。
対格Oはjul(受けるものjualから)という前置詞で示される。倒置の際にのみ使われる。
jul heren daiz fitat(リンゴを王は与えた)
これが後のyulになる。なお、現実にはjulは存在しなかった。

Sは倒置をしても格は表示されなかった。
V、O、その他の格すべてが何らかの方法で明示されるため、何も付かなければSだと消去法で分かるためである。

語順と助動詞


助動詞はモダリティを指す方法としてlyから増えだし、lsでも増え、aで最盛を迎えた。
aではおよそ100もの助動詞がある。

特にaでは急激に助動詞が増えた。
助動詞が増えたことで、ひとつの動詞に対しいくつも助動詞を重ねる機会が増えた。
この場合、SVOだと中々Oに行かない。

そこで助動詞をたくさん付ける場合はSOVに戻されることがあった。
やがてこれが助動詞を使う場合の標準となり、助動詞を含む文ではSOV語順となった。
これは固定的なものなので、julは必要ない。
non kui heren : non heren kui en(私はリンゴを食べられる)

ただし前置のreやmiなどはカウントせず、SVOのままでよい。
re ku tu(そう言え)

連体詞と代名詞


「こ・そ・あ」のluが中間的距離を指すようになった。
それに伴い、luの頻度が高まり、luとLuの音が似ていることから一時どちらもluに混同された。一時的にluが「それ&あれ」を示すようになった。
その直後に「あれ」を指す語としてluをアプラウトしたleが分離。tu, lu, leの3段階となる。

tu これ、この
lu それ、その
le あれ、あの
tun これの
lun それの
len あれの

日本語と同じく、手元のものはtu、相手のところあるいは中間距離はlu、遠いところあるいは見えないところはle。
アルディアのころの世界の言語は2段階の指示詞が多く、人種の坩堝だったアシェットの言葉に採用されたのは2段階式のtuとleであった。
これが新生のtu, leに繋がる。

代名詞


四人称oniが生まれる。
oniによって構文が安定する。

el anx ridia lex yutia(リディアはユティアと呼ばれる)
――においてelがないと受動態を使うことになる。すると構文が変わる。
主語が総称になっただけで構文が変わるより、四人称が元の構文を維持するほうが、構文が安定しているといえよう。

・所有代名詞

「〜のもの」を指す所有代名詞ができる。
基本的に「〜もの」を指すalから来たlが付くが、lの変音でtが付くことも。
いくつかは新生に継承されている。新生が人工言語なのに複雑な所有代名詞を持つ神話的な理由はこういった歴史的な事情による。
noanのように強変化するものもある。

del:delt
an:ant
non:noan

lusso:lussol
dyussou:dyussol
tis:tist
tit:titl

sou:sout
luu:luut

oni:onil

tu:tuul
lu:luut
le:leet

ちなみにこれらは代名詞の所有格にもなる。
「私の」はnon keno, e non, noanのいずれでもよい。

e


同じアルバザード語でも時代ごとに違いがあり、例えばセルメルでは依然としてeよりkenoのほうが多く使われた。

アルディアだとkenoは古風になり、口語では頻繁にeが使われた。
代名詞に限ってはeすらほとんど使われず、antなどが使われるようになった。

non keno hacma(私の勇者)
――は少し古風な言い方。
ふつうの言い方にするとnoan hacma。

アルカと違って前置する。
アレイユでnoan hacmaというとaの古語を喋っていることになる。
non keno hacmaだとさらに古風な印象を与える。

時場と符


ld、lsと同じ。
開音節の場合は下記。

過去 t 前が有声音なら同化してdと読む
現在 r 前がl, t, d, nなら同化してlに、cならcになる
未来 s 前がzならzに前がxならxに、前がjならjになる
前が有声音なら同化してzでも同化しないでsでもよい
通時 なし
無時制 なし 相も付かない。相を使うときは現在形を使用

ただし閉音節に付く場合、主格と同じく直前の母音ないし直前の二重母音の強い母音が付く。
kulul(作る)→kululut(作った)

開音節の場合そのままtが付くが、母音と同化するのでdになる。
i→id

将然相 etta i/r/etta 見そうだ。ketta(行く)から。
開始相 er baog/d/er 殴り始めた。向かうというところからkerが使われている。
継続相 tan lufa/t/tan 飛んでいた
完了相 il fai/s/il 燃やし終えているだろう。
影響相 anis kui/anis 食べてある

時制/相の順序で動詞に後続させる。
時制と相の間の場合は子音連続でも母音を挟まない。
baogatetta(殴りそうだった)

複文と関係詞


複文を作るker〜buがker〜tuになる。
文末ではtuを省略できる。
non lo ker dyussou de jan(私は貴方が間違っていると思う)

このker〜tuが関係詞としても使われる。
non id lantis ker dyussou tiia(私は貴方が愛している人を見た)

結果、romは消滅した。
tuは文末などで省略されたため、kerだけで使われることもあった。
このkerが後のleになっていくわけである。

命令文


mi〜reなどの語順が変化した。
mi〜mが目下に対する甘やかした言い方に変わった。
目上に対してはmi reに一本化。

<fv以降>

命令:re ku(言え)
敬意命令:mi ku re(仰いなさい)
依頼:re ku m(言って)
敬意依頼:mi ku m(仰ってください) 

<アルバレン>

命令:re ku(言え)
敬意命令:mi re ku(仰ってください)
依頼:re ku m(言って)
甘え:mi ku m(言ってちょうだい)、mi keko m, mel(メル、こっち来て)