・言語史概略

フィルヴェーユ語:
ml90senで北部と南部に分かれるまで使われた。しかしその後の変化は緩慢で、ml104senでようやくfvが通じないレベルになる。mel97senくらいなら恐らくまだfvの方言レベルといえよう。

シージア語:前期zg〜千年の冷戦後まで
zgからこのように呼ばれる。zgが始まったころはまだfvのシージア方言というレベル。しかし語彙の変化がかなりあったため、通常は通じない程度になっている。喩えると、例えば97senごろが東京弁と大阪弁くらいの差だとしたら、104senごろは東京弁と沖縄弁くらいの差になっていると考えればよい。
それがなぜシージア語という別の言語として括られるようになったかといえば、それはマレティスの支配により南部などと言語が混ざったためである。

この時代にプレディス語からalhanonが入った。
特に前期zgではしばしばプレディス人のほうが軍事的には劣っていたものの内政では勝っていたため、難語を多くプレディス語から取り入れた。
その結果、alhanonは難語を書くときにそのまま用いられた。また、文字の読みを記す際にも用いられた。

混ざったのが前期zgだが、融合が落ち着いてひとつの言語として成立したのは千年の冷戦後である。
冷戦は逆に戦間期となったため、社会は安定し、言語の融合も済んで安定していった。

古ルティア語:zg.33y〜kk末期
冷戦からカコの終結まで。融合した文化をルティア人が国風文化に変えていく時代。
zg末期にルティアが建国されシージアが消滅。歴史上の分類ではルティア語のほうがルティア国よりも前。(当然当時はシージア語と呼ばれた)

zgでの文化と言語の融和が終わって落ち着いた時代で、言語の変化も安定した時代。
伝統の国ルティアらしく、言語の変化は非常に緩慢で、印欧語でいうならドイツ語以上に保守的。しかし宗教的な縛りがなかったため、アラビア語ほどではない。

言語の内容はシージア語と大差ない。
プレディス語は既になく、南部は既に征服済みだったが、alhanonはこの時代の古語としてルティア国内で権威があった。
というのも、難語の表記に用いていたためであり、宮廷や学者しか使えなかった。
それゆえ古ルティア語(slt)ではalhanonで難語が作られた。

中ルティア語:sm〜rd
セルメルになるとハーディアンから表音文字が入ってくる。表意表音文字アルハノンが既に入っているため、すんなり表音文字は受け入れられた。
表音文字はオノマトペなどを表すのに用いられた。

メルテナとカコという戦乱の世の中を走らずに済んだため、セルメル初期のルティアは社会的には安定しており、国力も強かった。
その国力を背景に国風文化運動が加速し、自国文化に誇りを持つようになる。
結果、alhanonで書かれた難語が次々ルティア語読みされるようになっていった。
難語の読みをルティア語の和語を用いた読みに変えていった。

しかし文字まで変えてしまうと過去の文献を読むのに支障が出ると考えられ、そのままにされた。
この国風文化を動かしたルティア人インテリ層は衒学的で歴史にうるさい人々で、せっかく積み上げた自分の知識が崩れ去る選択肢は選ばなかった。
代わりに読みをルティア式にすることで、ひとつのalhanonに対し本来的なプレディス語の読みと新しいルティア語の読みを付した。
これはインテリ層には格好の衒学材料で、競って多くの読みを覚えることで自らの知識量をアピールした。

この結果、ルティア語は世界一たくさんの文字種を使い、世界一たくさん文字の読みを持つ、最も難しい言語になっていった。
しかしルティア人は――特にインテリ層は――そのような言語を操ることを誇りに思っていた。

アルディアでも戦火を免れたため、保守的で安定した社会と言語使用が維持された。
アルバザードは逆に戦争ばかりをしていたため、常に革命の繰り返しで、深い歴史や伝統を築けない風土にあった。
そんなアルバザードが伝統の国ルティアに憧れたのは無理からぬ話で、優雅で知的で安定した社会を営むルティアを羨んだ。
それは言語への憧れにも繋がり、rdのころはルティア語というと優美な言語と考えられ、ルティアというと伝統と思慮と知恵の国と考えられた。

近ルティア語:nd〜vl

アルディアの終わりからアルバザードでアルカができ、強力なアルバザードの技術力とともに徐々にアルカが浸透してくる。
しかしアルカは日本の中の英語のような地位でしかなく、一般人はルティア語を話し続けた。

一般的にルティア人はアルカからの外来語を嫌い、ndでは外来語を自国語に訳して取り入れていた。
しかしvlでは圧倒的な技術力の差と、溢れる新語の波に押され、アルカの外来語を受け入れるようになった。
従って近ルティア語の特徴は外来語が来たことにより、zg以降変化の少なかったルティア語に変化が訪れたことである。

現ルティア語:al〜lj

ミロク革命によってアルカは世界中に広められ、一般人まで広くアルカを用いるようになった。
しかしミロクの力をもってしても世界がアルカしか使わない状況を作るのは不可能で、結局ルティア人の多くがバイリンガルになるという結果に留まった。

とはいえ、やはりミロクの影響力は絶大で、アルカの語彙が大量にルティア語に流入。
ルティア人の多くはこの現ルティア語なまりのアルカを使い、アルカの中にもルティア語の語彙を混ぜることがある。
これがアルカのルティア方言である。