・中性代名詞e

las ant et kai vein nod las e miir.
の2番目のlasは省略できる。

las ant et kai vein nod e miir.
この用法は制アルカから存在した。

lasが省略される時点でeは接続詞でなくなる。
ではこれは何詞か。文法的には代詞になる。

"asa e tilan"→"e tilan"となり、"e"が"asa e"に等しくなり、代詞になる。
直後に所有者を取る特殊な代詞だ。
今回これを代詞と定義し、中性代名詞と名付けることにした。

中性代名詞というのは仏語enから来ている。
enは前置詞deを含む代名詞で、eは格詞eを含む代詞だからだ。

今回これを取り上げたのは次の事項による。
上記の用法は制からあったが、特に文法的な分析がされていなかった。
そこに下記のような新しい用法が入ったため、文法的な分析が必要となった。

tu miik har et lant fein nod e diia.

このeはmiikを受けている。
こちらのほうが代詞と分かりやすい。

この時点では代詞という分析をしていなかったので、なぜ接続詞のeがこのような用法になったのだろうと不思議に思った。
ちなみにこの用法の初出はリーザ先生。
そこで上の例を分析したところ、eは代詞だと分かった。
代詞だというならこちらのeも代詞なので、メタファー化しやすい。
この用法はeの代詞用法が元になっているといえる。

ここはe diiaであってtu diiaではない。tuだとmiik harを全体を受けるし、そもそも違和感がある。
恐らくtuだと「赤いりんご」を受けるのではなく、「今主語になっている目の前にあるこの赤いりんご」という定性を持つからではないか。
eだと恐らく英語のoneのように不定性を帯びるのだ。
だから、tu diiaだと「え、tuは「目の前のこの赤いりんご」なんじゃないの?それがさらに緑ってどういうこと??」と思い、違和感を感じるのだ。
そこでeが出てくる。eは不定性を帯び、oneの意味なので、単にりんご一般を受ける。それで違和感がないのだろう。

・残された疑問

定性の問題かと思って後から先生に「じゃあ、tuを入れるとしたらどこに入ります?」と聞いてみた。
するとtu miik har et lant fein nod e le diia.と言われた。
tuでなくleで帰ってきた。tuは主語で使っているからアウトなのだろう。
ただ、ひとつずつ指を指していけば両方ともtuでいけると思う。

ともあれ、e le diiaもe tu diiaも、明らかに文法的におかしい。
文法的にはtu e diiaになるはず。eが代詞でmiikを受けるのだから、tu miik diiaのつもりでtu e diiaになるはずだ。
ところがe tu diiaという。

だが、これを聞いたときにやけにしっくり来た自分がいる。
妙だと思い、リディアとメルにも聞いてみたが、やはりe tu diiaのほうが自然に感じられるらしい。
もう少し大きければルシアにも聞いてみたいし、あとクミールにも聞いてみたい。それと、ネットユーザーにも聞いてみたい。
ただ、4人ともe tu diiaでしっくり来るというのには何か理由があるはずだ。

あと、中性代名詞eは日本語の「の」に似ていると感じた。
「ミールの」「それ、あたしの」「この赤いの」などのように。用法が同じだ。
自然言語に所有格の「の」を使って不定性のoneを示すような言語はほかにあるのだろうか。
というか、日本語はどうして所有格の「の」からoneを指すようになったのだろうか。
謎が残る。