演繹音は、オノマトペの一種である。
アルカにおいて体系的に作ることのできる擬音語のことである。

演繹音は――
「接頭音」+「接中音」+「接尾音」
――で構成される。


pip(小さな雨粒が地面に落ちて弾けて消えるときのような音)

なぜpipがここまで詳細な意味を持つ音になっているのか、不思議に思われるはずである。
以下の説明を読めば、貴方もpipの語感を「演繹」できるはずである。

●接頭音

・1つないし2つの子音からなる。
・その音の音色を表す。


p:弾ける音
m:揺れる音、震える音
f:擦れる音
l:流れる音
kl:きしむ音
etc……

●接中音

・1つないし2つの母音からなる。
・その音の高さ、強さ、重さ、長さを表す。

■高さと強さ

高い順に、i>e>a>o>uである。
強い順に、o>a>e>i>uである。
重い順に、o>u>a>e>iである。

これを見ると、oはuより軽いが、uより強いといえる。uは重いが弱い。
強さと重さの序列はuの位置が違うだけである。

例えば、同じ接頭音klを持っていても、kliは高く軽い音になる。電車がキーっと止まるときなどの音である。
逆に、kloになると、重く強い軋みを表す。岩と岩がゆるやかに軋みあってゴリゴリいうときのような音である。

■長さ

母音が1つだと、短い。
母音が2つだと、長い。
同じ種類の母音しか重ならないので、aiとかieといったものはない。


kli:短い軋み。キッという感じ。
klii:長い軋み。キーという感じ。

●接尾音

・1つの子音からなる。
・その音の動きを表す。


t:衝突、反射など、向かっていってぶつかり、止まらずに跳ね返ったり消失する動き。
k:停止。衝突の後、停止する。区切りをつける接尾音として使う。
m:湾曲、回転、屈折。音が曲がることを示す。
s:連続、継続。金太郎飴のように同じものが何度も続く動き。
l:伸び、流れ。同じ連続でもsと違って、ひとつの音がぐーっと伸びる感じ。水あめが伸びるイメージ。
n:跳ね。tと違い、衝突よりも跳躍に重点を置いた動き。ボールが弾むイメージ。
p:消失、停止:ぱっと消えたり止まったりする動き。なくなってしまうという点に重点を置いた動き。

例えばkliという軋みでも、klisだと常に物と物が接触しあって軋んでいる音になる。電車のタイヤと路面のように、常に接しながらブレーキをかけて軋むときの音である。
klinだと、軋んで、その勢いで跳ねるという感じの音である。爪でガラスを弾いたときのキンッという音である。
klipだと、軋んだ音が消失するさまを表す。爪で黒板をキッと短く引っかいたときのような音である。

●清濁

無声子音を有声子音にすることで、その音のイメージを変えることができる。

無声子音:綺麗、鋭い、好印象、可愛い、儚い、優しい、弱いetc
有声子音:汚い、鈍い、悪印象、憎たらしい、図太い、怖い、強いetc

日本人には理解しやすいはずである。
ただ、重さや大きさは母音部分で表すので、そこには注意すること。

kliという軋みは、gliという鈍い軋みになることができる。
kliは爪でガラスを引っかいたような鋭い軋みで、gliは骨と骨が軋むような音や、岩と岩がぶつかってゴリゴリ言うような鈍い軋みである。

●繰り返し

音の繰り返しは、オノマトペを重ねることで表す。
klipという音が何度も繰り返されるときはklipklipとなる。