・市販教材はネット教材より必ずしも良質ではない

仕事をしていて、英語の本の意外な側面を知るようになりました。
まず、この業界は少子化に伴ってどんどん売れなくなっているため、予算がとても厳しいという事実です。

予算が厳しいと、2色で刷れなかったり、内容も薄くなったり、CDの内容も悪くなります。
お金をかけられないので、色んな制約が出てきます。

人件費が一番大きいので、人件費を少なくするためにスピーディに仕事をさせられます。
著者の執筆時間が減るので原稿はやっつけになりがちで、編集も時間をかけられないのでやっつけになります。というか、疲れて目が持ちません。
それが市販の英語の本の現実です。

バブルのころは予算が多めに組めたそうです。
今の本のほうがお金がかけられなくて、中身が薄くなっているのですね。
新しいは新しいけど、実は既刊本のほうが内容が濃いということがザラにあります。

韓国の教材を見ていると、「よくこんなに金がかけられるなぁ」という思います。
造りは粗いですけど、金はむちゃくちゃかけています。
聞いたら、売れ行きが日本と全然違う。
韓国人は科挙の影響がいまだに残っていて、勉強熱心な国民だそうです。

さて、一応プロの目から見ると、市販教材はたいていネットの教材よりよくできています。
そりゃプロが作ってますからね。
でも、物によってはネット教材のほうが良いということがあります。

ネットなら4色(フルカラー)で書けますし、ページ数も気にせずいくらでも伸ばせます。
印刷代もかからないし、取次ぎもいらない。てゆうか書店もいらない。
そのくせ世界中に公開できる。
公開する立場に立つと、書籍よりもネットのほうが何かとおいしいのです。

書籍は予算の関係で中身を割愛することがザラです。
その分、読者は得る情報が減ってしまう。
でもネットにはそういう欠点がない。
だから、物によってはネット教材のほうが使えるなぁと思いました。

書籍で良いのは、誤字脱字が少ない点、レイアウトが綺麗な点、情報の正確性が高い点、CDの音質が綺麗でリップノイズが少ない点です。
ネットがこれらの弱点を克服したら、完全にネット教材のほうが利便性において上回るような気がしました。

少なくともアルカについては僕が作れるので、非業界人が作るよりはそれっぽくなります。
まぁ、ナレーターまで一人でやってるので、どうしてもリップノイズとかが出て汚くなってしまいますが。

そしてアルカを真似してほかの言語屋がオリジナルの教材を作れば、人工言語は英語を除く自然言語より教材が豊富という状況になります。
それって実は業界的にはすごいことなんです。マイナーである人工言語のほうがかえって自然言語より教材が豊富というのは、ありえないことですから。
自分たちで常識を覆す遊びは、なかなか高尚だと思うんですが、どうでしょうかね。