名詞・動詞・形副詞はすべて不定詞と呼ばれ、語形がどれも同じである。
英語ではmarryの名詞形がmarriageでと覚えるが、アルカではその苦労はない。
mals(結婚)は「結婚」にも「結婚する」にもなる。

不定詞がどの品詞になるかは統語的に判断する。
動詞の位置に来ていれば動詞である。修飾していれば形副詞である。
形副詞は形容詞と副詞の混成である。名詞にかかれば形容詞、動詞にかかれば副詞である。

不定詞はモノ語とコト語に分かれる。
モノ語はmiik(リンゴ)のような純粋な名詞である。
コト語はlad(作る)、kai(大きい)のように、動詞や形副詞になるものである。

モノ語からコト語を作ることができる。bezn(モップ)は動詞として使うとモップがけをするという意味になる。
コト語からモノ語を作ることもできる。ladは文法的に動詞の位置にくれば動詞だが、それ以外の位置にくれば動名詞「制作」になる。
また、ladanで製作者という意味になる。このように接辞をつけてモノ語に変える方法もある。

コト語は能受がある。
ladは能動コト語という。デフォルトが動詞になる。
kai(大きい)は受動コト語という。デフォルトが形副詞になる。動詞にする際は接辞emを付ける。

能動コト語は何の接辞も付けずに普通動名詞になれる。ladで「制作」という意味になる。
受動コト語は何の接辞も付けずに受動名詞になれる。kaiで「大きいもの」という意味になる。

また、どちらも受動の形副詞になれる。ragna lad(作られた機械)、ra kai(大きな家)、fian esk(雨に降られた少女)。
なお、能動の形副詞にする場合、接辞anを付ける。vik setan(殺す男)、vik kantan(成長させる男)。

能動名詞にする場合、接辞anを付ける。setan(殺人者)、kaian(大きくする者)
受動名詞にする場合、接辞olを付ける。setol(被害者)。ただし受動コト語は接辞なしで受動名詞になれる。kai(大きいもの)。

まとめ

能動コト語

動詞:set:動詞の位置にくるので分かる
普通動名詞:set:名詞の位置にくるので分かる
能動形副詞:setan
受動形副詞:set:修飾しているので分かる
能動名詞:setan
受動名詞:setol

受動コト語

動詞:kaiem
普通動名詞:kaiel
能動形副詞:kaian
受動形副詞:kai:修飾しているので分かる
能動名詞:kaian
受動名詞:kai:名詞なので分かる

もしコト語の能受を区別しないと、決闘をいちいちeivel、死をvortel、出会いをlamaktelと言わねばならない。
能動コト語は受動名詞より普通動名詞の意味で使うほうが圧倒的に多い。
従って能動コト語は普通動名詞を無標にするのが合理的である。

何が能動コト語で何が受動コト語か覚えるのは大変に見えるが、そうでない。
ようは何が動詞で何が形容詞か覚えるわけだが、「作る」という概念が形容詞だと思う人間はまずいないだろう。
動詞の自他は言語ごとにまちまちで、marryが他動詞というのは日本人には覚えづらいが、どの概念が動詞でどれが形容詞かはあまり問題にならない。
しいていうならば、rest(采配される)、mols(時間がかかる)など、静的な動詞は形容詞との区別が困難かもしれない。