ウチのプロジェクトはアルカを作ることだけではない。
世界アトラスを作ることも含まれる。そしてそれを分担している。

通常、世界のほうが言語より大きいのだが、この世界においては世界は言語と等しい重要性を持つ。
というのも、このプロジェクト自体がセレンとリディアの遠距離恋愛を埋めるためのものだったからである。
両者は双璧を成しつつ作業をしているため、言語は必然的に世界の双璧となった。

では、ファンタジーの世界において言語を最も重要なものにするにはどうすればいいだろうか。
結論のひとつが呪文だった。魔法の世界なのだから、そこに言語を食い込ませるのがもっともであろう。
そこで「魔法はことば、言葉はまほう」という考え方ができた。
この「魔法はことば、言葉はまほう」という考え方のことをアルカでranslotという。

この世界の魔法は呪文を必要とする。そうでないファンタジーもあるが、この世界では言語の地位をあげるため、呪文を絶対視している。
そもそも、ここまでハイクオリティな言語を作っておいてファンタジー要素である魔法が呪文を必要としないのであれば、ファンタジー用に作った意味がなかろう。