leiha
概念象徴、レイハ
9:ridia:len/hacma(人形/文字)。9年に既にリディアが作っていた概念だったが、特に注目されることもなく埋もれていたもの。古いメモを見つけて掘り出してきたリディアが20年に魔法理論に組み込んだことで復古。
[文化]
<leihaとharmel>
概念にはそれを象徴する象徴記号があり、これをleihaという。
概念の持つ属性の集まりは晄基配列によって表現されるが、それと同じ配列を作る音波のことをeesteという。
エーステは音声面、レイハは記号面での象徴である。

leihaは三次元体であるため、通常どの視点から見るかによって形が変わる。
例えばピラミッドを上から見れば四角に、前から見れば三角に見える。これと同じく、leihaは視点によって見え方が異なる。
この異なった見え方をharmel(概念面)という。harmelはひとつのleihaに複数存在する。
まれに完全球のようなleihaだと、harmelがひとつ(=円形)しかないものがある。

<harmelとhacmaの序列>

harmelは三次元体であるが、これを二次元で表記したものがhacma(概念記号=幻字)である。
従って、harmelの数だけhacmaがある。同じ火という概念を指す文字がたくさんありえるということである。

しかしピラミッドを見たときにすぐピラミッドだと分かるのは斜めからの視点だということを考えれば、harmelにも元のleihaの形が見えやすいものとそうでないものがあることに気付く。
つまり複数あるharmelの中には「leihaのわかりやすさ」において序列がある。
神々はこの序列の一番上のharmelを選び、それを指すhacmaを作ってきた。
だが、あえて二番目のharmelを選んでhacmaとすることも、魔法をアレンジする上では重要であった。

従ってこの世界では一番上のharmelを指すhacmaが最も重要視されたため、魔法が廃れたアルディア以降までは字形の保持が行われたことになる。
字形の言語ごとの変化は自然言語的な変化ではなく、魔法をアレンジする上での二番目以降のharmelを選んだ結果ということになる。

<hardiyuとharklet>

各言語で文字を何と読むかは言語ごとに異なっている。
hacmaの音価は通常エーステが対応する。だからたいていの言語で火の文字はfaiと読む。
ただ、音声面にeesteだけでなくveldiyuやankletがあったように、文字面にも同じようなものがある。

音声面にveldiyuやankletがあるのと同様に、文字面にもhardiyuやharkletというものがある。
赤色土という概念を示すhacmaは、赤のhacmaや土壌のhacmaとは別個のものである。
しかし概念の数だけ文字があると到底扱えないため、より上位概念の文字を組み合わせて「赤+土壌」のように表現する。これがharkletである。

また、同じhacmaに対し、言語ごとの細かい違いがあれば、それはhardiyuである。
これは漢字で説明したほうが分かりやすいだろう。

門という字は中国語でも同じ意味を指すが、字体は少し異なる。
門は両言語で同じhacmaだが、字体が異なる。これは両者が別々のhardiyuを使うためである。ここでのhardiyuは字体に相当する。
門という字については日本語の字体のほうが原初に近いので、こちらをhacmaと見なすことができる。中国語の門のほうがむしろhardiyuである。
eesteとhacma、veldiyuとhardiyuと対応させて覚えるとよい。

なお、日本語で門としているものを英語ではgateという4文字で表す。
これらは同じレイハを指しているが、文字が違う。なので異なるhacmaを持つ。
hacmaが違うということは遡るとharmelが異なるわけである。
門とgateはharmelが異なり、hardiyuの違いではない点に注意したい。

<魔法の音声面と文字面>

hacma(幻字)の使い方にはバリエーションがある。
マレットは光などを用いて魔法陣などの中に幻字を描き込む。
シフェルは魔法陣という形で幻字を描かないが、呪文を唱えると使用したレイハの幻字が浮き上がり、regalとなる。
ただしlortやvelgaltなどではしばしばレガルが現れず、レイハが実体化されない。
また、同じマレットでもdixentはレイハの実体化をしない。

<幻字と魔法>

幻字を用いる魔法の利点は、同じ文字体系を使ってX語でもY語でも魔法が使えることである。
日本人と中国人が会話はできなくても筆談ならできることに似ている。
魔法は音声面と文字面の2面に個別にアクセスするため、文字が同じなら読みが異なっていても文字面では等価として扱われる。

すなわち、読みだけA語からB語に翻訳してしまえば、文字については翻訳しなくてもよいということになる。
もちろんB語がA語と異なるhacma(第二位のhacmaなど)やhardiyu(任意のhacmaに対応する異体字)を持っていれば、そこは翻訳する必要がある。
逆にこの手間が欠点となる。さらに、文字を翻訳した結果、魔法が発動しなくなるリスクもある。

<魔法の翻訳>

従って、古来より魔導師たちは新たな魔法を開発するたび、苦心しながらそれの別言語版を作ってきた。
特に戦時中は敵の呪文をいかに自分の言語に翻訳した。同時に、敵性語でも唱えられるマルチリンガルな魔導師の育成に注力した。
呪文はただ決まり文句を覚えればよいだけではない。魔法AをX語→Y語に逐次翻訳してもたいてい発動しないため、発動するように文章を変えねばならないためである。

さらに、発動したとしても、より効率のよい呪文を探して研鑽を続ける必要がある。それが主な魔導師の仕事だったため、語学の習得や詩吟の能力は必須技能であった。
しかし魔導師にとって語学の学習などで時間を割かれると、肝心の魔法の練習が疎かになってしまう。そこで呪文を専門に研究する科ができた。
かといって前線の魔導師も呪文を自分で最低限は構築したり理解したりしなければならなかったため、結局は語学などに時間を割かれることとなった。

魔法の翻訳は音声面と文字面の2面から行わなければならず、複雑を極めた。
音声面ではクリアするが文字面がアウトとか、その反対とか、非常に翻訳は難しかった。
また、アルディアのころには言語が多く分派しすぎたため、魔法も各国語ごとに存在し、非常に混沌としていた。

→続きはdiaizmの項で。