・dk用文字コードarkantis

――を作るまで、最低限PCの歴史を作らなければならないことに気付いて加筆。
この気記だけでワードで文字カウントしたらスペース含め9500と出た。1日記1万とかありえないw

melzet
/ [数学]そろばん、ソロバン、算盤、アバカス、珠算
20:melxe/zep/te(珠計算の)
[文化]
meltia 98'2684にカルテ神がレスティルで発明。砂に線を引いて丸い石を置いて計算した。
meltia 98'3542にルカリア人に伝来。このとき既に板に溝があり、そこに石を置く仕組みになっていた。
アズゲルではyuuma 63年に石ではなく丸い木の球を棒に通した日本でも見られるような算盤がレスティリアで発明された。それが同盟関係にあったギルケート族に伝来する。後にギルケートを征服したハクシウスに伝来し、飛竜での交易に利用されるようになり、ルカリア・レスティルに広まる。
この算盤は以降この地域を治めたシフェランの東方遠征に呼応するように広まり、最終的にはサヴィア大陸にまで渡った。シフェランの征服した領土が広大だったため、算盤のデザインはこの木製のまま伝来していった。
算盤は電卓などの登場で翳ったものの、ヴェレイでは脳トレなどと称して生き続けた。

looza
/ [数学]計算尺、対数尺、ローザ
20:lo/zamo(考える尺)このzamo(木)は棒、尺のこと。
[文化]
imul 1396にlooz igretが対数尺を発明。lozamoを語源としたが、自分の名前に似せたという腹もある。imul 1410に計算尺を発明。こちらもloozaと呼んだ。地球と異なり、対数尺と同じ名前で呼ばれるので、区別するには複合語を用いる。
当時アルナ産のローザは木製で白く塗られ、アルシア産のローザは鉄製で黒かった。アルディアで計算機は広まり、一般の学生にも普及した。アルナ大学とラグナロク以外は木製で茶色のものを持っていた。電卓が広まるまで理系学生のステータスシンボルで、特に白か黒のローザを白衣から出す姿は女子によくモテた。

looz igret
/ [人名]ローズ=イグレット
20
[文化]
(imul 1360:1431)アルナ大学の数学者。imul 1396に対数尺を発明。imul 1410に計算尺を発明。

astelt akinas
/ [人名]アステルト=アキナス
20
[文化]
(imul 1305:1348)イルミ=アキナスの息子。計算機ziliotの乗除算を発明したが、国家反逆の罪を着せられ処刑される。

ilmi akinas
/ [人名]イルミ=アキナス
20
[文化]
(imul 1279:1348)ラグナロク校の卒業生で、ワゼット等の発明者。歯車式計算機を発明するが、国家反逆の罪を着せられ処刑。

dilis main
/ [人名]ディリス=マイン
20
[文化]
(imul 1270:1341)ラグナロク工科大学の研究員。最終職位は学長。1348年、akinas親子の才能を妬んで国家反逆の罪を着せ、処刑させる。本人に目立った功績はなし。

hyuxa main
/ [人名]ヒュシャ=マイン
20
[文化]
(imul 1453:1510)ラグナロクの研究員。1496年に自邸宅の倉庫からasteltの計算機を発見し、経済省に引き渡す。自身の成果としたが計算機の外観が古びていることから怪しまれる。しかし証拠不十分として嫌疑を退けられ、1499年にラグナロク学長となる。晩年は痛風に悩まされ、悪夢に魘されるようになる。1502年にアキナス父子の悪霊を悪夢で見て以来、痛風の原因は呪いだと思うようになり、1504年に真相を暴露。学長を終われ、邸宅で1510年に息を引き取る。これによりマイン家は没落。

ziliot
/ [数学]歯車式計算機
20:古:dzihoholo/te(歯車の)
[文化]
imul 1314に時の経済省からの要請を受けて、imul 1321にilmi akinasが開発したもの。歯車を用いたもので、加減法しか扱えなかった。
imul 1348に息子のastelt akinasが乗除算にも対応したものを作る。asteltは二進数の考えを導入し、多段式の歯車を用いた。しかしdilis mainの姦計により、akinas親子は国家反逆の罪を着せられ処刑。アステルトの計算機は公開されないままマイン家に隠された。
imul 1496にディリスの子孫であるhyuxa mainにより再発見され、経済省に引き渡され、ようやく実用化に至る。
この計算機の二進法が後のtwarzelのコンピュータに影響を与える。

geks
/ [動詞]ひっくりかえる、ひっくりかえす
[数学]対数、ログ
13:制
[文化]
対数はimul 1377年にibel yungeによって発見され、計算機のない時代に重宝された。神代ではイメア神の加護で計算ができたので、対数は発明されなかった。

ibel yunge
/ [人名]イベル=ユンゲ
20
[文化]
(imul 1331:1388)数学者。アルナ大学の研究員。imul 1377に対数を発見。imul 1382に常用対数表を作成。

mistis
/ [被服]白衣
20:mistiaflos(ミスティアローブ)
[文化]
1575年のミスティア錬金術舎創設の際に実験服として政府から提供されたものが始まり。当時は色のついた試薬や材料が多かったため、白だと実験中に服についてもよく見えることから、白が選ばれた。
後に科学が発達して白い薬品が増えると、薄く色をつけた白衣が着られるようになった。
ヴェレイでは外科医を中心に血の色のコントラストを抑えるために薄い緑色の白衣が着られた。
現在では理系学生の一般的な制服となっており、キャンパス内では実験中でなくても白衣の姿が見られる。

kilzol
/ [数学]正弦、サイン
19:単位円の弦を半分に切ったもの
[文化]
アルテムで神々が天文学を始めた後に発見され、ユーマの一族にも伝わった。従ってアズゲルのころには既に正弦表が発見されていた。
yuuma 2531の冷戦期に半弦の考え方ができる。
yuuma 2633に弦を半分にして直角三角形を当てはめたところから余角が発見され、余弦ができる。
遅れて三角比ができたのは遠いimul 1121のことである。

gel
/ [軍事]銃、拳銃
sorn:アルシェではkilだが、これは英語のkillからなので使わない。
[文化]
imul 1400年にラグナロクのyuli jileelが魔法を使わない銃として開発。その後、魔法の衰退とともに一般的な兵器となっていく。

kaigel
/ [軍事]大砲
19:リディアの書
[文化]
imul 1412年にyuli jileelが発明。ナディア以降戦史で重要な兵器となる。

yuli jileel
/ [人名]ユリ=ジレール
20
[文化]
(imul 1369:1433)ラグナロクの研究員。gelとkaigelの発明者。オスティアの子孫。

tela
/ [電算]電卓
13:制:古:tespalala(電気/数)
[文化]
mel 152にfaia gaaviが発明した。電子計算機はキャッシャーやコンピュータが既にあったが、卓上で簡単に計算できるものはこれが始めて。やがて計算尺を駆逐した。

faia gaavi
/ [人名]ファイア=ガーヴィ
20
[文化]
(127:198)ラグナントの研究員。電卓を発明した。

sors
/ [電算]コンピュータ、電子演算装置
15:制:恣意
[文化]
;hacnolt
imul 1547にラグナロク工科大学のtwarzel disidiaが計算機として開発した。アンジェルの実験データ及び運用データの分析のために正確かつ大量の計算が必要だったことから作られた。魔動式で、ディスプレイはなかった。詳しくはkonvirを参照。
imul 1555にtwarzelがディスプレイを付け、数字を表示できるようにした。
imul 1603にリュウがラグナロクで文字コードを開発し、フォントを作って画面上で文字を扱えるようにし、合わせてディスプレイを現在の地球のようなテレビ型の大きな画面にした。キーボードを発明した。文字コードはlotte参照。
imul 1604年、遅れてリュウがプログラム言語をセレンと共同開発。しかしセレンはその後、あまりの難しさに白旗を挙げ、アルカに専念。そのため、プログラム言語はリュウが担当することになった。
imul 1608にリュウがOSを開発。
imul 1615にリュウがGUIを開発し、マウスを合わせて開発。
imul 1632にリュウは電動式のコンピュータを試験運用。こちらは地球と同じく電気のオンオフによる二進数を利用しており、歯車式計算機やブール代数などの原理が応用されている。

lotspretar
/ [電算]タイプライター
14:制
[文化]
imul 1612にリュウの助手をしていたパールが、コンピュータ用に使っていたキーボードを元に発明。印刷機がなくてもすぐ印刷できる画期的な機械だった。

lotte
/ [電算]ロッテ文字コード、ロッテコード、ロッテ
20:圧力印刷
[文化]
imul 1603にリュウが文字コードを開発し、7ビットによる1バイト文字を作成した。これはhacnoltと呼ばれていたが、1612年にパールがタイプライターを発明したころからlotteと呼ばれるようになった。

arkantis
/ [ユマナ][電算]アルカンティス、繋界コード
20:arkatis(救世主)の来た世界のコード。ark自体が繋ぐという意味だから、「世界を繋ぐコード」の意味もある。
[文化]
セレンがdiaklelを作るために作成した文字コード。オンラインdkは地球のインターネットで使われるため、どの文字コードで見ても文字化けしないアスキーコードが使われた。同時にアトラスのdkはlotteで表記される。lotteとアスキーは同じ7ビット文字だが、当然文字の割り振りは異なる。aに当たるアルカの文字はaだが、アスキーとlotteでは文字コードの振り分けがむろん異なる。従ってlotteコードで辞書データを作成するとオンラインdkが閲覧できなくなり、アスキーで辞書データを作成するとlotteで見たとき、具体的にいえばPDICなどで閲覧したときに文字化けしてしまう。
そこでlotteコードとアスキーの中間的な存在として作られたのがarkantisである。arkantisは明朝taphacなどと異なり、dkをオンラインでもPDICでも化けずに表記するために作られた。従って明朝taphacとは文字コードが異なる。
例えば@の文字はarkantisになく、"を使う。"はlotteにおいては@と^の総称である。"というフォントはアスキーで表示しても"で表示されるので、@や^を"にしておけば、PDICで見てもオンラインで見ても化けない。
同様に、「.」という文字はdkでは「〜の」を指す。これはアスキーではピリオドである。しかし明朝taphacではガコンになっているので、文字化けを起こす。そこでarkantisではピリオドにピリオドを当てはめ、ガコンはツンクの2回打ちで表現する。
このピリオドをピリオドに当てはめるというのはほかにも理由があり、4点リーダー....を化けさせない目的もある。明朝taphacでは....(ガコン4連続)になってしまうので、#としている。しかしこれをオンラインで見ると#に化けてしまう。だがarkantisではピリオドはピリオドにしてあるので、ピリオド4回打ちで化けずに表現できる。

kempe disidia
/ [人名]ケンペ=デシディア
20
[文化]
(imul 1472:1537)ラグナロクの工学者。学長を勤めた。トワーゼルの父親。anjelの構想を練った人物。imul 1512に階差機関を発明。

selizio
/ [工学]階差機関、セリジオ
20:複数の歯車
[文化]
imul 1512にkempe disidiaが発明。アンジェル企画設計に役立った。すこぶる高度な技術が必要だったが、ラグナロクには既にシルマインのような高度な技術があったため、階差機関を設計・作成することができた。

twarzio
/ [工学]解析機関、トゥワルジオ
20:twarzelのセリジオ
[文化]
imul 1538にtwarzelが父を手伝ってともに発明した。これがきっかけで大量の計算ができるようになり、アンジェルの作成にこぎつけた。解析機関は穴を空けたパンチカードで動作する魔法のいらない機械であった。このパンチカードはnenkartという。

nenkart
/ [被服][工学]パンチカード
20:模様カード
[文化]
imul 1321にメティオのkanzel toxiaが発明し、1356年にアルバザードに伝来。織機で模様の入った布を織るために用いられた。やがてtwarzel disidiaによって解析機関に組み込まれる。

kanzel toxia
/ [人名]カンゼル=トシア
20
[文化]
(imul 1263:1341)メティオの機織職人。1321にnenkartを発明。

konvir
/ [魔法]閉式赫晄
20:古ko(中に、同じ)/vir
[文化]
アテンの中で安定するが、アテンの外では不安定。従ってエタンの中でも一般に不安定である。
エタンの中で安定させるには金を用いる。金は閉式赫晄を帯びると高魔圧で開式赫晄を当てない限り、開式赫晄をそのまま保つ性質がある。銀と異なり、virの伝導力はない。
金に吸着した閉式赫晄は一箇所だけガレットを変えた閉式赫晄を浴びせると、その変えた部分が衝突する箇所にgaleemという穴を作る。ガレームを通ったガレットは金箔を通過し、直線状に飛ぶ。
閉式赫晄の晄基配列はこのようである。
3412
2143
3412
2143
この任意のガレットを1つ透過値に変更する。例えば左上の3を変えるなら1にする。右上の2を変えるなら4にする。例えば左上を1に変えると、この閉式赫晄は次のような赫晄になる。
1412
2143
3412
2143
この赫晄を金箔上の閉式赫晄に浴びせると、変化した1の部分のガレットだけ金箔を通り抜けることができる。このとき金箔上の3にはガレームという魔法空間的な穴ができる。
この現象はimul 1315にルシフェル校のkyuk diimが発見しているが、実用化には結びつかず、論文は眠っていた。
1544にtwarzel disidiaがこの論文を再発見し、ようやく脚光を浴びることとなる。トワーゼルは金箔の裏に銀箔を置き、ガレーム現象で通過したガレットを記録することに成功した。銀はヴィルの伝導率が良いので、その後ろに置いた回路上にガレットが流れることになる。そのガレットが銀箔どの位置から入ったかで、回路は16種類の位置情報を受け取ることができる。この位置情報はそのまま16進数上のデータとなる。言い換えれば4ビットのデータとなる。
トワーゼルはこの4ビットのデータを基に銀箔の裏に置いた計算機で四則演算をさせ、結果を10進法に直して、クンツァイトのatoe効果を利用した鍵を動かし、セットされた用紙に0〜9の数字を刻印を押させる方法を開発した。これが最初のコンピュータである。
入力方法は鍵盤で、0〜9の鍵と加法記号などの鍵が備え付けられていた。鍵を押すことでコンピュータにデータが渡り、それが16進数に変換される。するとコンピュータ内部にあるルビー(ヴィルの魔石)が閉式赫晄の一箇所を変えた赫晄を金箔に照射し、あとは上記の仕組みで計算が行われる。例えば1という数字なら16進法では1あるいはeresと呼ばれる数となり、閉式赫晄の晄基配列のうち左上の3を1に変えた赫晄がルビーから照射される。

kyuk diim
/ [人名]キュク=ディーム
20
[文化]
(imul 1281:1355)ルシフェル校の魔法学者。元はアルシェリア人の留学生だった人物。imul 1315にガレーム現象を発見。

hacnolt
/ [電算]文字コード
20:文字の一揃え
[文化]
imul 1603にリュウがsors用に開発した。当時作られた新生アルカの表音文字は文字数が少なく便利という理由で採用された。sorsはタイプライターのようにCRなどの制御文字を必要としていたため、地球と同じく文字コードには制御文字を含んだ。最初に含まれたのは表音幻字25種、それに古アルカの表音文字4種である。これに新生で使うテンペラなどの表意文字を追加し、:などの約物といわれる表意幻字を追加。アルバザードで使うことを見越して通貨記号なども入れておいた。その数がおおむね100前後であったため、7ビットで表すことにした。当時は魔動式のコンピュータを使っており、最小単位が4ビットであったため、8ビットで表現し、残り1ビットは空白で常にeres(16進数で1。後の2進数で0)で表記した。
1604にリュウはsorsをアルバザード国王とヒュート国王に献上。経済省から量産を依頼される。
1606に影の女王であるリーザから内々にsorsを紹介されていたルティア王であったが、この年、公にsorsを紹介され、興味を示す。
1608に量産体制を整え、経済省に組み込まれるようになる。
1609にルティアとメティオに輸出される。
1610に両国で評価を受け、量産が決定する。
1611に両国で量産体制が整う。
1612にパールがタイプライターを発明したころからこの文字コードはlotteと呼ばれるようになった。
1613にリュウは拡張機能として表意幻字を打てるように、表意幻字の文字コードを開発しはじめた。このころルティアやメティオは弾道計算にsorsを使う計画を立てており、sorsの研究は機密事項となっていたため、文字コードについてもリュウと共同歩調を歩まず、独自の文字コードを作成した。両国はsorsについてアルバザードに一歩常に遅れてきた経緯があったため、アルバザードの開発を待っているばかりの体制を打破しようとしていたというのもある。
しかしそれが結果的には各国ごとに表意文字の文字コードが異なり文字化けしてしまうという不合理を生んだ。
この現象はヴェレイまで続き、ヴェレイでようやくアルバザードの文字コードを拡張したユニコードが開発され、落ち着く。
diaklelがlemir言語庁によって電子化されだしたのはアルディアのことであるが、このときレミールの方針はコンピュータと異なり、なるべく各国が共同歩調を取るというものであった。当然、省庁ごとに外交方針は異なる。レミールはしばしば文化的記述や百科事典的記述において他国の情報を必要とした。そのため、各国のレミールは協調姿勢を見せた。
しかし当時は文字コードが国ごとに異なっていたため、レミールは文字化けのしない表音文字、すなわちlotteの範囲でdiaklelを電子化することにした。文字コードの変換プラグインを用いれば変換は可能だが、アルバレンに存在せずティアレンには存在する幻字などには対応しきれず、また文字コードの変換も完全なものではなかったため、レミールは作業の効率化と誤解の回避のためにlotteを選択した。さらに通貨記号など、各国に特有な文字は化けるため、これも避けることとし、最小限の文字数で辞書を記述するという方針が生まれた。
加えて、アルディア末期のレミールは新生アルカを作ったセレンの意向を反映していたため、表意文字をできるだけ退けたかったというのもある。セレンは当初新生を表音文字だけで作ったが、表意幻字に慣れきった国民から表音文字に変えることに不安の声が上がり、移行期間の間は使ってもよいという条件付きで表意幻字の継続的使用も認めていた。レミールはセレンの意思を踏まえ、lotteを使うことでなしくずしに表意文字を消していこうと考えた。しかしセレンやレミールの意向は国民には理解されず、結局その後も装飾や古風な書記法などに表意文字は使われ続けることになり、アレイユになった現在でもdiaklelにはその見出し語を表意文字で何と書くかという項目が残っている。

armetia
/ アルメティア、列強三国
20:arbazard/metio/lutia
[文化]
アルバザード・ルティア・メティオの三列強の総称。
アルバザードは古代はレスティルといい、ケートイアなどを含む地方であった。レスティルはアルテムで神が住んでいたため、世界の中心であった。その後東西戦争アズゲルの西の指導者シフェランがヴェルディア人で、ヴェルディア人の出身がレスティルだったこともあり、レスティルは世界の中心になり続けた。
一方、東の陣営ではマレットの一族を率いるマレティスがシージア人で、シレジアの出身だったため、東ではシレジアが世界の中心となった。シレジアは後にアズゲル末期にリーゼルとルティアに分かれる。このうちルティアが東の世界の中心だった。
また、メティオについては当時はメディアンといい、メディアンは魔方などを含んだ大きな国であった。特に世界の中心ということはなかったが、yuuma 3586にバルマージュが開通して魔物被害が増えだしたころから事情が変わる。バルマーユ人は逆境を逆手に取って魔物を飼いならし、魔物を操って戦う人間を育成することに成功した。yuuma 3612にはシフェランがバルマーユ人の中から竜族を飼いならした竜騎兵を編成し、シフェランはこの竜騎兵を得たおかげで東方遠征に成功する。これによりメディアンは隆盛し、現在の魔方やメティオが中央アルカットの中心となっていった。

このようにして現在まで続く列強の礎ができていったが、三国はいずれも得意とする分野が異なっていた。メティオは多種多様な魔獣兵からなる強大な軍事力を武器としており、純粋な武力では最強であった。一方ルティアはアズゲルでマレットやシフェルの民に代わる代わる蹂躙されてきた土地で、ましてそれが魔法をぶつけあう戦争期間だったものだから、世界中の魔法がこの土地に集まった。ルティアにはこの世のあらゆる魔法が持ち込まれたため、ルティアは魔法の国としての地位を築いた。
一方アルバザードは攻め込まれたことが少なく、文化の混ざり具合もルティアほどではなく、魔獣兵のような軍事力もなかった。つまり魔法も軍事も突出していたわけではなかった。単にかつて神々がレスティルで暮らしていてその恩恵をルカリア貿易などでも維持できていたにすぎず、ほぼ地理的な幸運に恵まれて経済的に強かっただけの国といえる。魔法も武力もそこそこのバランスタイプだったが、それでも列強になれたのは経済的な強さが一番の原因であった。
そんなアルバザードは自国に強みのないことを気にしていたため、アルバ一世の学校設立やルシフェル魔法学校やラグナロク工科大学やミスティア錬金術舎に見られるように、自国の強みとして「研究」を打ち出すようになっていった。
こういった研究は技術力を向上させ、アルバザードの歴史を決定的に変えた。結果的にアルバザードは技術力、特に魔法工学で先端を行くようになり、この魔法工学によって魔法や魔獣兵を凌駕する軍事力を得、経済力と合わせて名実ともに最強の国へ成長していった。
ルティアはなまじ魔法そのものの技術力が高かったせいで、かえって学問としての魔法学は遅れ、魔導師各人の技能や経験に頼るところが多い職人堅気な気質であった。そのため個々の魔導師の能力は極めて高く、実戦的であった。
アルバザードはその傍らで魔法を学問として研究した。デスクワークなので個々の魔導師の力はルティア人に及ばなかったものの、結果的にはこれが魔法工学などに導き、軍事力の向上へと繋がった。
とはいえルティアも列強であるからにはやはり技術力の進歩には目をつけており、アルバザードの技術力には惧れと羨望を抱いていた。セルメルになるとアルバザードに追随する形でシグナリオ工科大学やイスフィリア錬金術舎を建てて、学問に励んでいる。セルメル以降はむしろルティアのほうがよく勉強をする国だというイメージを持たれている。
しかしルティア人とアルバザード人には決定的な国民性の違いがあり、技術力はセルメル以降もアルバザードが先端を行くことになる。アルバザード人は勉強したことを応用して技術力を向上させ、新しいことをどんどんやろうという国民性で、チャレンジ精神が旺盛である。間違いを恥と感じず、たとえ感じても気にせず突き進む性質を持っている。
一方ルティア人は学校を建設した際宮廷が学校を管理したことから、学問は貴族の教養という位置づけにあった。技術力の向上はもちろん望むけれども、それは建前で、実際のところは貴族同士の意地の張り合い、プライドのぶつけ合いといったところが大きかった。学問はむしろ教養として学ばれ、間違えれば恥、知らなければ恥という価値観になっていった。さらにルティア人のひかえめで大人しい性格もあって、ルティアでは学問は教養の地位を築いた。その上ルティアは伝統的な国で新しいことをなかなか始めないため、学問を活かして新技術をという風潮にはなかなかならず、「アルバザードがもうあんなに発展したのにまだウチはこれこれもできていないのか!」と識者や官僚が「成功した前例」を掲げることで、ようやく変化が認められる国であった。
この傾向はその後も続き、現代に至る。ルティア人にとって学問はアルバザード人が試行錯誤して作り上げた内容を翻訳して学び、教養として蓄えることだという暗黙のスタンスが確立していた。
その一方で、どんどん次へ次へと進んでひとつの技術を至高まで高めないアルバザード人の代わりに、ルティア人はその輸入した技術を極限まで高めるという性質を持っていた。そのため、アルバザードで開発され、ルティアで高められてアルバザードに再輸入されるというパターンは多い。
アルバザード人にとって勉強は研究で、応用するためのもの、使うためのものという位置づけである。そのため、しばしばアルバザード人は自分の興味のあることしか取り組まず、知識も断片的であることが多い。一方ルティア人は教科書に載っていることをすべて暗記せんばかりの勢いで勉強に励むため、入学試験や期末試験ではしばしばルティア人の学生のほうが高い点を取る。その一部がアルバザードに留学してくるため、アルバザード人にとってルティア人は頭の良い人々だという印象がある。

ナディア以降は三国は軍事力と経済力を背景に植民化を開始。これによりさらに力を付ける。
ミロク革命では独裁者ミロクの強力な力により、三国の中でアルバザードは突出した地位を得るようになる。結果、現代では三列強といってもその間にはレベルの差があり、アルバザードが圧倒的に強い国と見なされている。その下にルティアが来て、最下位にメティオが来るという構造である。メティオが最下位になったのはアルディアで魔物が消え、植民化も遅れたためである。ルティアが下がったのはアルディア以降魔法が消え、しかもルティア独特の伝統を重んじる閉鎖的な考え方で発展が遅れたためである。