紫外線と赤外線はどちらも「外」という字を使う。
自動的に可視光線が「ウチ」になり、それ以外がソトになる。
日本の村社会やウチソトの文化が、こんなささいなところにも出ている。

そういうのに気付くのは、異言語に触れたとき。
英語で紫外線はultravioletだが、赤外線はultraredではなく、infra-red。
言ってみれば、赤内線。

英語の場合、紫と赤という2点を個体と見なしている。
2つが境界点になって「ウチ」「ソト」を作るということがない。
赤という点よりも波長が長ければinfra、紫を越えればultra。
英語の個人主義が見え隠れして、面白い。

補足
nias氏によると、中国語、ベトナム語、韓国語は「外」で、他の言語の多くはinfra+赤だそうだ。
アラビア語は「赤の下の光線」、ヘブライ語は「赤の下」と表すそうだ。

上か下かというのは、越えるか越えないかと同じく、ウチソトを作らない。
アラビア語などは英語と同じ部類に入れてよいだろう。

また、韓国語などは独自でその単語を作ったというより、外来語として取り入れた経緯がある。
外来語として取り入れた場合、自身の文化に逆らう内容になることがあるので、注意すべきである。
日本語はinfra-redとあっても「赤内線」でなく「赤外線」と訳した。文化的な抵抗力がある程度あったことと思われる。