・辺境代名詞

アルカの所有格は複雑であるため、必ずしも世界中の方言が同じ体系を用いるわけではない。
最も複雑なのはアルナを含む北方語で、この体系はほかにルティアなどが従う。

同じアルバザードでもカテージュなどの南方では非所有格を元にした所有格が使われる。
中性代名詞e'を利用した用法であり、たとえばtiならtiilでなくe'tiとするものである。
anの場合はt'anになる。毎回'を挟むのは面倒なので省く。

「〜も」のtanとはイントネーションで区別できるため、fian tanのtanがどちらの意味かは音で分かる。
文章の場合は文脈判断か、それが無理なら'を付ける。

an tan
ti eti
lu elu
la ela
tu etu
le ele
el tel(格詞とは文脈で区別)

また、複数形の作り方も単純である。
頭にs(e)を付けるだけである。
san, seti, selu...

これらの所有格はやはりeを付けるだけである。
esan, eseti, eselu...


ところでなぜこれが南方代名詞と呼ばれないのだろうか。
先進国の首都や大都市圏ではたいていアルナ式の代名詞が使われ、辺境ないし首都でも低所得者層ほどこの代名詞を使う率が高いためである。
これはアルカが人工言語で、教育によってインテリ層から順番に流布されてきたという歴史的背景と関係している。

難しい所有格の体系は教養のない人間によって簡単な体系に作り替えられた。
この簡単な体系はそれまで使っていたアルバレンの代名詞の体系に似ていたことからも、自然であった。

この状況はルティアなどでも同じであったため、首都やインテリ層はアルナ式の代名詞を使う。
代名詞の使い方で社会的立場や出身地といった位相を示すことができ、口調が豊かになった。