影響相は行為動詞の5番目のアスペクトだが、その影響相が状態動詞の経過相に等しい。
だが線のアスペクトなら将前相だって持っている。
なので、行為動詞の将前相も○○動詞の経過相に等しいということが起きないだろうか。

まさにその通り。
だが、人類は将前というあまり使わない相をさらに細分化するだろうか。
恐らく、将前をそこまで細分化して考えようというのは人間の認知にそわない。

――というだけでは納得できないだろうから、影響と将前がどう違うのかを考えてみよう。
例えばesk(雨が降る)という動詞について考える。
esk sat(雨が降りそうだ)
esk kit(雨が降ってきた)
eskar(雨が降っている)
eskik(雨が止む)
eskes(雨が降って地面が濡れている)

このうち、雨が降るという現象の真偽について考えてみる。
すると、実は将前以外はすべて真なのである。将前だけは今後本当に雨が降るかどうか、真偽が定かではない。
表にするとこのとおり。

――○――○――
将 開 経 完 影
?? 真 真 真 真

こう考えると、将前と影響を同一視することができないことが分かる。
性質が違うのだから、影響に言えることを将前にも適応できるとは限らないことが分かる。
真偽の分かっていない事象について細かく段階を考えるのは、言語表現において特別な需要があるとはいえない。

状態動詞の意味と作り方