紫苑君、「作者さん」は人工言語界が下火なことを嘆いているといったが、それは一体誰のことかね。


失礼しました。アルカの作者のことです。セレンさんといいます。
81年生まれの男性で、日本とフランスの混血児で、人工言語には10歳から携わっているそうです。
「はじめてのエスペラント」の4人の作者のうちの1人です。


すると、我輩の遠い後輩に当たるということだな。
しかし、なぜアルカの作者の彼がエスペラントをやっているのだろうか。


もともとセレンさんは新生人工言語論というサイトから出てきた人です。
ここは人工言語全般を解説したり、人工言語の作り方について説明したサイトです。
言語論ができた当時は地球語など、個別言語に関するサイトしかなく、言語の作り方を解説したサイトはありませんでした。
そういう意味でちょっと珍しい人だったんです。


あぁ、要するに人工言語そのものに興味があるからエスペラントもやっているということなのね。
最初はアルカじゃなくて新生人工言語論を書いてたんだ?


確か、アルカは05年のころは言語論の1コンテンツに過ぎなかったよね。
アルカのほうが言語論より歴史が長いのに。


それはそうと、10歳から人工言語というのは驚きだな。
混血児というからふつうの日本人よりは外国語に接する機会が多かったのだろうな。


あと、セレンさんは大学院で言語学を専攻していたのも特徴的です。
前述のとおり言語学では人工言語を扱わないのですが、人工言語も言語の一種なので、作るときにはそれなりに言語学の知識が必要になります。
特にアルカのように作り込みに命をかける言語では、言語学の知識は必須になります。
しかし言語学専攻ほど人工言語をやらないという矛盾のせいで、なかなか言語学の知識のある作者がいないのです。


作者さんは高校のときに人工言語をやるために文系に転向して、そのまま大学で人工言語のために言語学を学んだそうです。
人工言語をやろうと思って大学に進むことも非常にレアだと思います。
また、彼が大人になったころはちょうどインターネットがブロードバンド化し、こういったサイトを作りやすい環境が整いました。
そういう意味で、言語論が出てきたのは時代の必然だったのかもしれません。


今後はこういったサイトを読んで育った若手の中から、もっと凄い人が出てくるんでしょうね。
なんだか楽しみだわ。


うん、作者さんもそれを望んでいるみたいだよ。
アルカを作りこんで人工言語の限界に挑戦するとともに、次世代を育てたくて色んな解説サイトを作っているんだって。


ふむ、彼についてはよく理解できた。
では、そのセレン君の作ったアルカは、我輩のエスペラントとどう違うのかね?

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